マンガ夜話

AYS2004-06-28

28日からBSマンガ夜話ですよ。
http://www.nhk.or.jp/manga/

6月28日(月) 23:00〜 「まんが道」作: 藤子不二雄A (6/26和歌山にて公開収録)
ゲスト : (なし)
6月29日(火) 23:00〜 「東京ラブストーリー」作: 柴門ふみ
ゲスト : 生島淳スポーツライター
6月30日(水) 23:00〜 「BECK」作: ハロルド作石
ゲスト : 東野幸治 大塚雄三(ロックバンド「チャコールフィルター」ボーカル)
7月1日(木) 23:00〜 「ボーダー」作・狩撫麻礼 画・たなか亜希夫
ゲスト : 北野誠

ついに『まんが道』キター! でもなんで和歌山なんだ? 椎名町か高岡でやるべきなんじゃないの?

せっかくなので夏目さんのブログへ、トラックバックによろしく。
http://www.ringolab.com/note/natsume/archives/001781.html

 26日(土)、BSマンガ夜話の和歌山で藤子不二雄(A)『まんが道』の回を収録した。
 本番、けっこう盛り上がった。まぁ、このネタで、このメンバーで盛り上がらないはずがない、ともいえるが。この回はゲストなしなので、話も集中したと思う。

おお、放送が楽しみ。

ちなみに私は、『まんが道』は昔全部読んでて、いま藤子不二雄Aランドを毎回買って読み直しているところ(たまり気味であるが)。
BECK』は全巻買って、いま読んでるとこ。面白い。スイスイ読める。8巻まで読んだ。だけど、私はロックに疎いので、どういう音が鳴ってるのかいまいち想像しづらいというか、ぜんぜん違う音を想像してるような気がする。別に嫌いなわけではないので、そのうちいろいろ聞いて基礎教養を身につけたいところである。
著作権がうるさくなった今のマンガには珍しく、他のマンガのキャラを出すお遊びをいっぱいやってて、地味にそれも楽しめる。『恐怖新聞』のキャラなんか準レギュラーだし。『まんが道』キャラもよく出てくるなあ。夜話の同じシリーズで取り上げられるのは偶然か。あと『キン肉マン』のキャラを見かけた。
あと、よく同じく音楽が聴こえるマンガと称される、『のだめカンタービレ』(まだ読んでない)と読み比べるのが楽しみ。
東京ラブストーリー』は今日買ってきた。なぜ今頃これを取り上げるのだろう。

ジュンク堂書店池袋本店トークセッションユーリー・ノルシュテイン「わたしの大切なもの」

AYS2004-05-30

(写真はジュンク堂トークイベントの後のサイン会)

ユーリ・ノルシュテイン(ノルシュタイン)といえばその筋で超有名なロシアのアニメーション作家である。http://www.laputa-jp.com/laf2001/yuri.html
『COMIC BOX』などの雑誌を出している「ふゅーじょんぷろだくと」という出版社はノルシュテインを積極的に応援しているようで、最近『ユーリー・ノルシュテインの仕事』という8925円もする豪華本を出版。

ユーリー・ノルシュテインの仕事

ユーリー・ノルシュテインの仕事

http://www.comicbox.co.jp/norshtein/
昼頃池袋リブロに行ったら、ノルシュテイン氏がこの本にサインしまくっていた。整理券は売り切れ。昨日の阿佐ヶ谷のイベント*1に行かれた方々も多いのだろうか。
ジュンク堂トークイベントは午後3時から。テーマは作品内容に具体的に言及するというより、人生の価値とか、芸術家はどのような姿勢で作品を作るべきかといった、自身の哲学に関する内容が主だった。

通訳はノルシュテインの絵本を翻訳してこられた児島宏子さん(だったと思う)。
ジュンク堂のカフェは狭いので、早く来た人から奥に追いやられる。早く来た人がいい席に座れるわけじゃないのはよくないと思う。私は席が半分埋まったぐらいのときに行ったのだが、真横方向の席だったのでお二人の表情も見られず、氏は豪華本を見せながら話したのだが、氏が見せていたページも見えなかった。残念。

まず芸術史観を語るノルシュテイン。(以下は私のメモを元にした再現で、実際のノルシュテインまたは通訳の発言とは異なります)

ギリシア文化が文化史の始まりである。ギリシア彫刻やパルテノン神殿は当時は世界をつくるものであり、文化とはみなされなかった。そしてそれは奴隷社会に立脚するものだった。哲学は奴隷のように売られたが、奴隷に影響を与えもした。奴隷も意見をもち、主人に意見を言うことができた。*2
キリスト教が広まると、「奴隷は恥」という認識が生まれ、それは芸術に影響を与える。そして「生と死」、人生の方向付けが問題とされるようになった。
ルネサンスの芸術は宗教・神ではなく人々に必要なものを扱い、人々に影響を与えた。
社会が発展するにつれ、「個人」が認められるようになった。16世紀にレンブラントやベラスケスといった宮廷画家は、主人の注文通りに作品を創った。その後、サロンができ、芸術家の作品が広く展示されるようになると、芸術は「個の表現」となったのだ。

「作品か商品か」「作品は誰のものか」「作家にお金を出すのは誰か」みたいな議論。
上記http://www.comicbox.co.jp/norshtein/のインタビューでも出てくるが、ノルシュテインソ連で公務員としてアニメーションを作ってきた人間だということもあるだろうし、作家としてピュアなので、お金に関しては理想論者のようだ。後で引用する話の伏線である。

重要なのは、「魂の宝物」ということだ。これは、喜び、悲しみ、苦しみ……人生の積み重ねのことだ。作品とは、これを皆に提示することなのだ。
これは芸術作品に限らない。人と対話することも、「魂の宝物」の提示である。
しかし、「魂の宝物」が込められたアニメーション作品にはなかなか出会えない。現在のアニメーションの概念は間違って認識されている。他のアニメーション作家は、作品に自分が染み込んでいるとはあまり言わない。
作家は自分に対して誠実であるべきで、自分に対して誤魔化しをしてはならない。子どもの頃は皆そうだが、大人になるとそれを忘れてしまう。
「相応しい・価値・徳・長所」という意味のあるロシア語の単語があるが、現在、この言葉は軽く使われてしまっている。
人間の人生の意味・価値を込めなければ、作品は私にとって意味のないものだ。私の作品の一枚のカット、これは二十数年の結果がこの一枚に収斂している。

この辺りが今回ノルシュテインが一番語りたかったことのようだ。
彼は自分の演出法や技法の話は今回いっさいしなかった。作品へ向き合う姿勢、作品に込めた想いを語った。今回のテーマがたまたまそういうことだった、ということもあるかもしれないが、それだけではないだろう。
独特のタッチや演出が評価されがちな彼の作品だが、彼が本当に見てほしいのはテーマでありそこに投影した自分の世界観であるようだ。彼の独特な絵は、あくまでその投影であり、それが素晴らしいのは投影されているものに価値があるこということなのだろう。
この話に関しては、質疑応答でも続いた。(質問者の質問内容を超え、ノルシュテイン語りが始まった)

(日本のアニメをどう思うかという問いに)「このアニメが正しいとか、正しくない」とかはいえない。しかし、アニメーションは、作者の人生が反映されていないと嘘になる。現実との交差点がないと駄目なのだ。
「アニメーションとは何か。」と、いつも自分に問いかけている。私自身、考え方が変ったりもする。しかし確信していることがある。それは、「アニメーションは現実のイミテーションであってはならない」ということだ。
アニメーションは自分自身の時間の概念を持つべきだ。私は昔は速くてダイナミックなものをアニメーションだと思っていたが、いまではおだやかなゆっくりとしたものがアニメーションの時間だと思えるようになった。

キャラクターが人間の場合、質のあるキャラクターを創るのが大変難しい。人間のキャラクターは大変危険で、「本当らしさ」というかたちになりがちだ。これが現在制作中の『外套』でぶつかっている問題だ。『冬の日』でも同じ問題があった。
現実を持ってきてもしようがない。しかし、観客が信じられるものでないといけない。この境界をいつも模索している。
最近、コンピュータが発達して、作家たちに自由を与えている。だが、それは不必要な自由だ。「本当らしい」ものが簡単にできてしまう。これは怖いことだ。
「まるで本当の人間みたいだ」というのは観客に何の感情も呼び起こさない。それを取り去ったときに本当に感動してもらえる。
ギリシアの彫刻で円盤投げをしているものがある。*3これはすごく本物らしいが、よく見ると、円盤投げのさまざまな動きをひとつにまとめている。本物じゃない。だからすごいのだ。
アニメーション作家はそういう作品を創らなければならない。

おお、やはり「リアルよりリアリティ」の話ですか!
CGに関して「まるで本当の人間みたいだ」というのは観客に何の感情も呼び起こさない」というのは、もっと早く聞かせたかった人がいっぱいいるなあ……。坂口某さんとか最近のアレとか。
いや、もちろん結果論だけど。「本当の人間みたい」な映像を作ることをいろんな人が模索していき、その玉石混交から新しい表現が生まれるということもあるだろう。
その他、氏は『話の話』に投影されている自身の2つの「母」に関する体験を語った。

豪華本『ユーリー・ノルシュテインの仕事』に関しては、「素晴らしいものを作ってくれて、作家として大変うれしい。この本には私のこれまでがすべて入っている。」と、宣伝だけでなく本当にうれしそうだった。でもインタビュー記事は日本語でしか載ってないので、写真を見ながら「このとき私は何を話したんだっけ?」と思い出しながら眺めているそう。

文化の概念を国が提示し、国が(アニメーション等の)輸入や製作をすべきだ。売れるものとかウケるものではなくて、作家がちゃんとしたものを創り出すために、国が支援すべきだ。これで全部ではないが、ずいぶん改善されるだろう。
ミヤザキ(宮崎駿)がいて、「好きなだけお金を使っていいよ」と言われたら、素晴らしいものを創るだろう。製作費とか製作費回収とかを考えないで作品が創れたらいいのにと思う。
芸術作品は、どの時代でも商品だった。ゴッホは絵を売りたかったが、売れなかった。その意味でゴッホは自由ではあったが、自由ではなかった。今の時代ほど芸術が商品化したことはない。靴を買うときみたいに芸術作品が選別されてしまっている。
だから、どの国も国レベルでサポートをしていかなければならない。
そんなわけで、この豪華本も買っていただかなければならない。(笑) これは商品だが、しかし中身は私の人生そのものだ。

ノルシュテインソ連人なんだなあ。彼の文化社会主義を感じるよ。
でもまあ、多かれ少なかれ芸術家の本音はこんなものだろう。彼にジブリの鈴木プロデューサーみたいなのがつくのが幸せなのかどうなのか、よくわからない。

ユーリー・ノルシュテインの仕事

ユーリー・ノルシュテインの仕事


豪華本に関して、私はノルシュテインの絵をもっと見たいけど、さすがに9000円近いのは高いかなあ、と始まる前は思っていた。でもまあ、少しでも彼の活動の足しになるなら買ってあげてもいいかな、と思い始めた。
イベント終了後、その場で例の豪華本を買うとノルシュテインがサインしてくれるという。しかもカットを描いてくれるとか。ええっ、これはもう買うしか。即購入決定。
10人以上買っていったと思う。ノルシュテインは1冊1冊丁寧に、それぞれ数分かけてご自身のいろいろなキャラクターの、いろいろなシチュエーションを描いていった。シーンによっては、背景まで描きこんだり。それを見ていることができたのもとても幸せだった。
私はシンプルに、お願いしてこのキャラクターを描いていただいた。また家宝が増えた。
これから読みます。

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

きりのなかのはりねずみ (世界傑作絵本シリーズ)

「冬の日」オフィシャルブック

「冬の日」オフィシャルブック

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

*1:阿佐ヶ谷他のイベント:http://plaza.rakuten.co.jp/kokoronosokokara/diary/2004-05-23/ http://blog.livedoor.jp/mixairo/archives/745110.html http://d.hatena.ne.jp/c23/20040530 http://www5c.biglobe.ne.jp/~akitaroh/diary/diary02.html(5/30)情報源:http://redhell.cocolog-nifty.com/misoji/2004/06/post_2.html

*2:ノルシュテインは名前を出さなかったが、奴隷哲学者エピクテトスあたりを念頭においているのだろうか。

*3:おそらくミュロン『円盤投げ』だろう。

研究会。藤本由香里さん・竹宮惠子さん・夏目房之介さんがそれぞれよしながふみ『愛すべき娘たち』『西洋骨董洋菓子店』ほかをそれぞれ分析。
ほかならぬ夏目さんご自身が、もっとも詳細なレポートを書かれていらっしゃるので、まずそちらをお読みいただきたい。
ログが消えちゃう可能性を考えて一部引用させていただく。
http://www.ringolab.com/note/natsume/archives/001629.html

▼発端

もともとは、藤本由香里さんが竹宮恵子さんにインタビューして作った「竹宮恵子のマンガ教室」(筑摩書房)を読んで「俺がからんでりゃ、もっと面白かったのによ」という不遜な発言をしちまったのがきっかけで、じゃあ今度は「読者」「読み方」を中心にして、一緒にやりませんかという企画があったことに始まる。

ここまでの経緯は私は知らなかった。

 その後、NTT研究所の人と共同でやったマンガ読みの視線運動実験発表のあと、雑談で、伊藤剛氏、藤本氏、僕の3人、それぞれかなり違う好みの人間が、そろってよしながふみを「面白い」と断言して、それじゃこれを題材にしてみようという話になったのである。

この場には私もちゃっかり同席させていただいた。http://d.hatena.ne.jp/AYS/20040314参照。
最初、藤本由香里さんは確定申告の書類を今夜中に書かないといけないので参加しようかどうか迷っていらして、すぐに帰るということで参加(でも結局最後までいらしたような気がする)。
この席で最初によしながふみの名を出したのは誰だったろう。伊藤剛さんだっただろうか。藤本さんだったろうか。ヤマダトモコさんだったろうか。とにかく、どなたかがまず名前を出す。伊藤剛さんが熱く激賞。藤本さんも誉める。夏目さんもおだやかに同意、というような感じだったという。
藤本さんが「脱力系」「関節はずし系」というキーワードを説明なしで出す。その意味を問われるが、明確には定義できず、「あのマンガはそうなの?」「いや違うのよ」みたいに、具体的タイトルを当てはめることによってその感覚を場で共有しようとするが、なんとなくはわかったものの、藤本尺度を十分共有できなかった。
その場で、研究会でよしながふみを取り上げて議論したい、と藤本さんが提議、その後メーリングリスト(や、おそらく発表者間の個人メール)で詰められ、今日の開催とあいなったわけである。

▼開始
午後1時45分頃開始。会場はすでに満杯。最終的には48人も集まったという。
「予想通り、ただの(BSではない)マンガ夜話って感じですが(笑)」という夏目さんの一言で開始。
藤本さん→夏目さん→竹宮さんという順番で発表。みなさん、プレゼン資料を作っていらっしゃった。
……と、詳細レポートを書こうとしたのだけど、詳しい内容は、すでに夏目さんhttp://www.ringolab.com/note/natsume/archives/001629.html伊藤剛さんhttp://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040601、magiさんhttp://d.hatena.ne.jp/pastoral/20040531が書かれているので、特に私が書く必要はなさそう。
で、とりこぼされている分を書こうと思ったのだけど、えーっと、メモはどこにやったっけ……。


本日の遭遇さん(上記以外):http://d.hatena.ne.jp/johanne/20040530#p2

参考リンク:http://www.h2.dion.ne.jp/~hkm_yawa/kansou/aisubekimusumetati.html

問題意識はどこにある?

地下鉄を乗り継いで早稲田へ。研究会。
http://d.hatena.ne.jp/AYS/20040327#p4でもちょっとだけふれて、私の勉強不足のせいでいろいろお叱りを受けた
本とコンピュータ』2004年春号
http://www.honco.jp/magazine/06_manga/index.html

特集】マンガはどこにある?
マンガを語る地図を作ろう 夏目房之介さんに聞く 
 聞き手 小田切博 153
だからマンガは面白い 最新マンガ論ショウケース2004
 自律化するキャラクターたち 伊藤剛 158
 継続と断絶――五十嵐浩一の九〇年代 小田切博 163
 なぜ『少年チャンピオン』の面白さは語れないのか 宮本大人 166

の続きということで、夏目房之介+小田切博+伊藤剛宮本大人という豪華半公開座談会が。
上記の日記の後、この記事は読んだのだが、マンガ言説史に関しても私は不勉強なので、正直記事だけでは問題意識がよくわからなかった。そんな状態で話を聞かせていただいた。
「マンガは子どものものという風潮があるが、そもそもそうではなかった」というところから始まって、マンガ言説史を年代別に概観。

宮本大人さんの板書より。例によってわけがわかってない私がメモしたので、間違ってる可能性があります)
1950年代……教育学的、斎藤次郎・峠あかね
1960年代……漫画主義、ガロ・COM・真崎守・石子順造
学生運動、下火に
1970年代……村上知彦米沢嘉博・橋本・中島・亀和田……文体が共通
1980年代……大塚英志四方田犬彦呉智英:『現代マンガの全体像』は1950〜1960年代のマンガ論を批判、1970年代のものは無視
1990年代……表現論:自明性が共有できないときのマンガ論。自明なものが崩壊したので作り直そうという運動。石子と似ている、夏目房之介
そして、ネット等でマンガ論の時代に

「米沢・村上は自分たちのコミュニティをつくって出版社と闘おうという一種の革命思想だったが、大塚は企画書の天才でオトナを説得するのが上手い、出版社に寄生して権力を握った。岡田斗司夫も似ている。」等々。
最後は宮本さんが『本とコンピュータ』で表現した音楽雑誌の比喩をもとにいろいろ議論。
その後の飲み会にもお金がないくせについてく。夏目さんや宮本さんにいろいろ教わる。夏目さんには『マンガの読み方』をいかにして作ったか、という話を少し聞かせていただいた。とても参考になる。
その他、岐阜から来たSF大会の常連らしき典型的な中年オタク氏(←この表現に他意はない)にいろいろ話を伺う。で、その方は「これまでサインをもらったことがある人リスト」というのを持ち歩いておられ、その中に「及川奈央」の名が。しかも生写真も持ち歩いていて、見せてもらった。一日に二度もこの名前に遭遇するとは。聞くと、結局AV女優らしい。うちに帰って確認してみたところ、うちにあった雑誌にも及川さん出てました。有名な人だったのね。

Please state the nature of the medical emergency.

すぐに新宿へ向かう。久々にロフトプラスワンへ。ギリギリ間に合った。
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/index.html

11日日 岸川靖とセクション31主催
スタートレックを語ろう 2004春:SF-TV大作戦」
今回は『SF-TV大作戦』と題して、STのライバル番組達にスポットを当てます。もちろん、そうした作品は映像付きで紹介します。例えばUPNでこの秋から放映予定の新作TVシリーズの先行プレビューや、昨年暮れにSci-fiチャンネルで放映されたロナルド・ムーア(DS9,VGR脚本、プロデュース)の手がけたリメイク版『宇宙空母ギャラクティカ』も紹介する予定です。とはいえ やはりメインはスタートレック。ニュース&新製品情報(見本などもお見せします)など お約束のコーナーの他、いくつか新コーナーを予定しております。また、今回から観客の皆さんにご参加していただくコーナーも新設しました。このコーナー用に筆記具を(ボールペンなど)必ずお持ち下さい。開場・開演は日曜日なのでちと早めです。
【出演】岸川靖
なお、当日のゲストは未定ですが 決まり次第告知いたします。
Open/18:00 Start/18:30 \1000(飲食別 / オマケ付き!)

『MERCY POINT』http://www.scifi2k.com/MercyPoint.htmlというアメリカのドラマの第1話のオープニングを見せてもらったのだが、これがすごい。
オープニングの映像や曲はどっかで見たような、聴いたような。ぶっちゃけ『ER』のモロパクリ。医者が寝ているところを起こされるところから始まるのも『ER』のモロパクリ。病院内を歩きながら他の医者から状況説明、一人の医者の話が終わると他の医者がすぐにやってきて歩きながら状況説明という長回しも『ER』のモロパクリ。
ところが、背景がスタートレック風で、エイリアンの患者とかがいる。なんと病院は宇宙ステーションだった! そういえば主人公の黒人の医者、『スタートレック・ディープ・スペース9』の主人公の黒人と似てる。
つまり『スタートレックDS9』+『ER』というだけのドラマらしい。『MAD TV!』か何かのコントにしか見えない。大爆笑。
即効打ち切られたとのこと。これは話のタネにビデオほしいなあ。

後はリメイク版『ギャラクティカ』の戦闘シーンの上映があったが、司会の岸川さんが指摘している通り、CGでカメラが動きまくる(手ぶれ処理も多様)のため、見てて疲れる。
私は『スタートレック』の脚本のいい回が好きなだけで、特にSFファンというほどでもないので、後はあんまし興味なかった。

それにしてもロフトプラスワン、前は最低ワンドリンクだったのに、今度から入場料1000円+ワンドリンク500円になってる。著作権無視の上映なのに入場料とるのは余計まずい気が……。

スタートレックシリーズの声優でほとんど唯一個人的にもスタートレックファンという、O川透さんも例によって出演。
最近は『鋼の錬×術師』*1の人気キャラ役のため、その手のファンの方が間違って来場するのを避けるために今回は告知を避けていたという。
あ〜、あのキャラの役もやられているのか。ご本人はヒゲのおっさんなのに、おっかけとかつくのか。すごいなあ。

前々回のイベントでいただいたTシャツ(愛用させていただいております)に続き、今回はボーグのマグネットをいただけた。「Resistance is Futile」と名文句(訳:抵抗は無意味だ)が書いてあったりして、うれしい(あんまり使い道ないけど)。

本日のニアミスさん
http://ito.air-nifty.com/blog/2004/04/_2004sftv.html

*1:キーワード爆撃回避のため伏字

言論の自由

ICCのシンポジウムに行こうと思ってたけど、天気も悪いし体調を崩したのでやめ。ネットにレポートが挙がってるようなので後で読もう。http://blog.digi-squad.com/archives/000332.html http://homepage3.nifty.com/MASUDA/rock/rock04-03.html#04-03-19

夏目と目

また新宿というか初台のICCへ。
「百聞は一見にしかず──21世紀の新しい表現の作法を求めて」のシンポジウムを見に行ってきた。

シンポジウム「まんがの文法を知るために」
記録と表現にて実験を行なった,人々がまんがをどのように読んでいるのかを検証する実験結果の報告会.実験の主旨,実験の結果の発表ならびに,結果を基にしたディスカッションを行なう.
日時:2004年3月14日(日)午後2時─午後5時 [終了しました.]
場所:ICCギャラリーA
入場料:一般500円,大学生以下無料
定員:150名(事前予約制、定員に満たない場合は当日先着順)
*参加ご希望の方はこちらの参加申し込み/申し込み状況からお申し込みください.
出演者 : 夏目房之介(まんが評論),大野健彦(NTTコミュニケーション科学基礎研究所),中澤潤(千葉大学教育学部),笹本純(筑波大学芸術学系)

http://www.ntticc.or.jp/Calendar/2004/Seeing_is_Believing/Events/event02_j.html
実験の趣旨などは伊藤剛さんのレポートをid:goito-mineral:20040315をご参照ください。(横着すぎ)
会場に入ると現代マンガ図書館の内記さん、元ガイナックス社員の某さん、マンガ研究家の秋田さん、NTT出版の植草さんを発見。後の休憩時間でマンガ評論家の伊藤剛さん、マンガ評論家の藤本由香里さん、ベクターの池川さんも発見(発見順)。その他私が面識のないマンガ評論家・編集者の方々もいたようだ。
登壇して講演できるクラスの人々が客席にゴロゴロいるってのもすごいなあ。
客は私の目算では50人ぐらいかな? 昨日の半分近い。

大野さんはパックマンの視線云々の研究をした方か。なんか昔論文を調べてたとき見かけたような記憶がある。その論文これかな?(PDFなので注意)http://www.brl.ntt.co.jp/people/takehiko/papers/jcss98.pdf

実験に使ったのは少女マンガ『桜蘭高校ホスト部』、大人マンガ『ブラックジャックによろしく』、少年マンガ『怪物くん』、アメコミ『ヘルボーイ』、4コママンガ『あたしンち』。で、いま列挙したのは(本一冊じゃなくて見開きを)読む速度が速い順。
大野さんが「どう見ても『あたしンち』が一番読みやすいのにかかわらず、一番遅いという意外な結果が出た」みたいなことを言っていたけど、4コママンガが一番セリフの密度が濃かったり、いちいちオチがついてたりして、読むスピードが遅いのは当然だと思うけど違うのかな?
夏目さんは「世田谷線という歩いてすぐの距離で停まる電車に乗っていると、ものすごく長い距離を乗っているような気がする」*1という例を出したりして、実時間と体感時間の違いを話に出して興味深かった*2

その他、実験の細かいとこにいろいろツッコミを入れたいところだけど、まだ始まったばかりだし面倒くさいのでやめておこう。

本日の夏目の目のコーナー(ウソ)。

ブラックジャックによろしく』の2巻の24ページの下段コマ。
「今すぐ宮村さんの退院手続きをとるの……」というふきだしがコマの右上にあって、次のセリフ「他のいい医者のいる病院に連れていくんだよ……!!」がある左下のふきだしまで線を引くと、その間に挟まっている人物の顔のアップの目と平行になっているわけです。
次のページの最初のコマでも、同じように人物の顔が配置されている。
普通は顔が、アップでは目が、記号になっているわけです。
このマンガは、だいたい全部こうなってる。すごく教科書的な視線移動をしているわけです。だからすごく読みやすい。

(例によって夏目さんのお話を私がメモしたものを元にした再現で、実際の発言とは多少異なります)

こういう視線移動を無視しまくりの小林源文のマンガとかで実験するとどうなるんだろ。


終了後、夏目さん達は朝日新聞か何かの取材を受けに。
打ち上げに混ぜてくれるということなので、冒頭の人たちと立ち話をしながら待つ。
取材が終わり、冒頭に書いた方々(一部を除く)と演者の方全員で地下のそば屋へ。
すんごく濃い話。みんな、熱いよ!(ちなみに今日のシンポジウムとか今回の実験の話はぜんぜん出ませんでした)
伊藤剛さん語りまくる。藤本由香里さんも「変なスイッチ」(夏目さん曰く)が入って語りまくる。夏目さんはマンガ夜話のときと同じように、基本的に聞いていて、要所要所で的確なツッコミと総括的な見解の披露。
モニターで読むマンガについてとか。大塚英志の本を誰かが誉めてたりとか(『戦後まんがの表現空間―記号的身体の呪縛』ISBN:4831872059
『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』ISBN:4061497030とも言ってたけど)。マンガ喫茶の役割や貸本屋とか貸与権の話とか。石子順造の文章は下手だと誰かが言っていたりとか。マンガ夜話で夏目さんが地雷発言をしてもいしかわじゅんが言ったことになる話とか。
笹本さんはこうの史代『夕凪の詩』*3を激賞。マンガ家のみなもと太郎さんが昨年の(?)手塚賞短編部門に強力に推したそうな。研究会にもいらしているマンガ家の山本夜羽音さんもMLで激賞していた。あ、検索したらはてなユーザーでらしたのか。この日付で詳しく書かれている。→id:johanne:20040225
藤本さんが『セーラームーンR』の映画が名作として名高い、とおっしゃっていた。そうなんですか?>識者の方々
笹本さんはドラマ『エースをねらえ!』が良かった、とおっしゃっていた。私は見てないので想像するしかないのだが、ヒロインが亡くなったコーチの日記を読むという最終回のシーンで、日記の文字が涙でにじむという演出が、多くのことを語っているのが素晴らしいとか。

藤本さん、伊藤さん、夏目さんらがなんと全会一致で「あれはいい!」と言っていた、よしながふみ『愛すべき娘たち』ISBN:4592132955(作者は『西洋骨董洋菓子店』の人)。この三人の意見が合うというのはすごいことのような気がしたので、帰りに買ってみたので後で読みます。
他にもいろいろ作品名が飛び交ってたけどマンガ読みじゃないのでよくわからなかった。アインシュタインを看取った看護婦みたいですいません。
シンポジウム中継を見てた方:id:ness:20040314#p2

*1:どうでもいいけど私は3日前id:AYS:20040311に初めてその存在を知り、脇を歩いて、無人駅で改札もないワンマンバスみたいな電車だなあ。駅間も近いし、と思ったのだった。タイムリーな例

*2:ビデオゲームでも、1回のロード時間が長いよりも、トータルでは同じ長さでも短いロードが頻発する方が長く待たされているような気になる(と思われる)のと同じだと思う

*3:『夕凪の詩』『週刊漫画アクション』2003年9月30日号に掲載され、現在では著者の同人誌で読める。通販はファンサイトhttp://kouno.mangalink.jp/からたどってください。池袋ジュンク堂などでも販売中。