プロフェッショナル 仕事の流儀 浦沢直樹でもマスターキートンはなかったことに

漫画家・浦沢直樹(2007年1月18日放送) NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070118/index.html

をとても興味深く見た。
ほんの少しとはいえ、長崎尚志との打ち合わせ風景も見れたし。

浦沢の過去の代表作として、「YAWARA!」「Happy!」が、最近の作品として、「MONSTER」「20世紀少年」「PLUTO」が挙げられていた。

Yawara! (1) (ビッグコミックス)Happy!―完全版 (Volume13) (Big comics special)
Monster (1) (ビッグコミックス)20世紀少年―本格科学冒険漫画 (20) (ビッグコミックス)
PLUTO 4 (ビッグコミックス)

予想はしていたが、やはり「MASTER KEATON」の存在は一切言及されず、番組内では事実上「なかったこと」にされていた。

MASTERキートン (18) (ビッグコミックス)キートン動物記―MASTERキートン/番外編 (Big comics color special)

連載終了後だいぶ経ってから、アニメ化までされた作品なのだが、やっぱり、権利関係でモメていたことが関係あるんだろうなあ。
人気マンガ「MASTERキートン」が絶版に至った理由。 Narinari.com
http://www.narinari.com/Nd/2005054455.html

私は浦沢マンガでは、「マスターキートン」が一番面白いと思う。
「MONSTER」「20世紀少年」「プルートウ」に繋がる、シリアスなストーリー路線の原点はここにある。(あ、「パイナップルARMY」のことも忘れてませんよ)


マスターキートン」は、手塚治虫の「ブラックジャック」と同じタイプの連作短編マンガで、特殊な技能を持った主人公(BJは医術、キートンはサバイバル技術と考古学の知識)が、世界各地に現れ、その場で起こっている問題を解決する。

主人公は持てる知識と機知を使って難局を切り抜ける。
多くはそのエピソード限りのゲストキャラクターの人生がテーマで、人情話が多い。

まあ、「水戸黄門」と同じといえば同じなのだが、ワンパターンでないところが「ブラックジャック」と「マスターキートン」の面白さなのだ。

そんなわけで、私は浦沢は短編が圧倒的に上手いマンガ家だと思っている。
「モンスター」や「20世紀少年」でも、「マスターキートン」的な、短編的なエピソードは上手い。
「モンスター」だと、犯罪を犯した息子に会いに警察に向かう夫婦がドクターテンマを車に乗せる話とか、良かった。(いま本が手元にないので記憶で書くので微妙に違うかも)
プルートゥ」の第1話など、完璧すぎてシビれる。

が、「MONSTER」「20世紀少年」は、後半になるとグダグダになってきて、完結してみると、「長編としては、結局たいした話ではなかった」と感じた。
大風呂敷を広げても、それを片付ける方法をまだ見つけていないように思える。

この辺が、番組でも取り上げられていた「20世紀少年」に対する批判ということと関係があるかもしれないが。

20世紀少年」はエピローグが始まったが、そんなの描くぐらいなら新作をやってほしいと、正直思ってしまう。

やっぱりこれまでの浦沢の作品(「MONSTER」「20世紀少年」の出だしも含む)が面白すぎたので、それ以上の面白さを期待してしまうのがいけないんだろうけれども。


MASTERキートン File13 [DVD]

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MONSTER DVD-BOX Chapter 1

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YAWARA! DVD PERFECT COLLECTION

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MONSTER 全18巻セット

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PLUTO 豪華版 (4) (ビッグコミックススペシャル)

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プロフェッショナル 仕事の流儀 (7)

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