アニメ版「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」

昨年12月にAXNでの「LOST」シーズン2が終わってしまい(DVD派の人はもうすぐですね)、見るものがなくて退屈していたので、アニメ版「鋼の錬金術師」をレンタルしてきて、後半と映画版だけ見た。

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ハガレン」アニメ版は、おそらく月刊誌連載の原作のストックがなくなったため、後半はアニメオリジナルストーリーとなっている。
……らしい。原作も、コミックスで8巻だったかあたりまでは読んだのだが、その後まとめて読もうと思いつつ、まだ読んでいないのだ。

なんで後半だけ見たのかというと、前半はコミックスで読んだ話と重複しているので、時間の節約のためにスキップさせていただいたということがまず一つ。
(最近の「ハチクロ」「のだめ」のアニメ化もそうだけど、原作に忠実なのはいいが、忠実なだけに、見ると時間の無駄のような気がしてしまうんだよなー)
もう一つの理由は、後半の展開がスゴイ! と言っている人たちがいたから。

アニメの後半は、毎回次が気になる展開で、大変面白く見れた。
だけど、短編エピソードになっていなかったので、短編好きとしては残念だけれども。

それにしても、「ハガレン」、すごいアニメですね。
あの残虐さかげんは「北斗の拳」以上では。
殺人、人体の一部の欠損(腕を切り落とすとか、首刎ねとか)、人体実験、レイプされた女の人まで出てくる。
これ、ゴールデンだか夕方とかに放送してたんじゃなかったけ? スゲー。

で、私が一番楽しみにしていたのは、完結編である映画版「シャンバラを征く者」では、主人公が原作の架空世界から、1923年のドイツへ現れるというもの。
ナルニア国物語」とか、大戦期・戦間期の現実世界からファンタジー世界へ、というのはファンタジーでよくあるけれども、逆パターンというのは新しい。

こういう展開、原作者的にはOKなのかな。

お母さんを生き返らせるというのが、主人公の兄弟の目的なのだけれども、それと世界の秘密である「門」(ロダン地獄の門みたいなもの)が一体となっている。

主人公の個人的な悩みとか目的が、世界の秘密とか世界の命運と密接に関係しているというのは常套手段であって、それはいい。
だけど、ホムンクルスと呼ばれる人造人間たちが敵として出てきて、それらがなぜ生まれたのかが、半径5メートル的な発想で、個人的にはちょっと残念だった。

映画版では、ヒトラーによるミュンヘン一揆を下敷きにしていて、カール・ハウスホーファールドルフ・ヘス、マブゼと名乗るフリッツ・ラング、エリック・ヤン・ハヌッセンなど、実在の人物が登場(ヒトラーもイメージ映像で登場)。
(実在の彼らがどんな人物だったのかは、Wikipediaのその人名クリック)

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プラネテス」でも言及されていたロケット科学者、オーベルトも名前だけ出てくる。
(それにしても、「栄光なき天才たち8巻 宇宙を夢みた男たち」だけ独立して復刊してほしいなあ)

シャンバラを征く者」は面白かったけど、完結編としていろいろ盛り込んだせいで、プロットがややこしくなっている。
テレビアニメ版はいちおう完結しているので、主人公キャラの位置づけが変更されている。
それをいったん、受け手が期待する、本来の形に戻さなければならないのだ。

また、原作で死んでしまったキャラクターを再登場させるためパラレルワールドにしたのかもしれない。
人気キャラを活躍させないといけないとか(なぜラスボスへのトドメがあの二人なのか)。
とりあえず、オチでは主人公たちをそれなりに幸せにするとか……。(でも脇役はかわいそう)

そういえば、テレビアニメ版の人気キャラ、ロイ・マスタング大佐の「組織の中で上に立って、組織を変える」って、「踊る大捜査線」まんますぎると思う。もうちょっとアレンジが欲しいなー。


ドイツが、ハガレン世界と同じタッチで描かれていて、あまりリアリティがなくて残念。
「どちらの世界もあまり変わらない」というメッセージがあるので、変に変えたくなかったのかもしれないが、そのせいであまり「ボクたちの世界に、フィクションの存在のエドが来た!」ってインパクトがあまりなかったな。
設定を聞いたときは燃えたんだけど、劇中ではあんまり。

「我々の知っている歴史が、登場人物の行動如何で変わってしまう!」ってハラハラもないし、実在の人物も、日本の観客にはほとんど馴染みがないし。

舞台をドイツにした意味を活かしきれていない気がする。


でも、「サクラ大戦」もそうだけど、昔を舞台にしたことで、「いま生きてたらこのキャラって何歳になってるんだろう?」と考えるとちょっと面白い。
時代物じゃないけど、スト2の春麗が、今年で38歳とか。

(あ、「春麗」って、「チュンリー」と読むんだけど、日本読みすると「ハルウララ」だということに、15年以上経った今頃気づいた)

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