AVGの遺伝子
今日はやっとGAMIANのBBSに書き込みできたので、せっかくなのでこちらにも流用させていただく。
http://6023.teacup.com/shige/bbs
はじめまして(長文すみません)。 投稿者:カセキ 投稿日: 6月 8日(火)00時34分5秒
はじめまして。「ポートピア連続殺人事件」を検索していてこちらに流れてきた者です。
当時「スーパーマリオ」も「ドルアーガの塔」も、何一つまともにクリアできなかった私が唯一クリアできたのがこの「ポートピア…」でした。こちらの文章を読んで、ゲームの雰囲気をまざまざと思い出すことができました。そこでふと気がついたのですが。
「ポートピア」の、
- BGM無し
- プレイヤーに不親切なところ(笑…これは他のサイトの感想で「先ず、何をすればいいのかわからいので戸惑ってしまうゲーム」と結構書かれているのを見たからです…)
- 地味な作業の積み重ねでゲームを進行するところ
- ただの謎解きに見えて、実はしっかりとしたストーリーがあるところ
等は、「MYST」シリーズの雰囲気にかなり似ているような気がします。地道に自分で調べていく、というところが特に。
常日頃「MYST」のようにプレイヤーが能動的にプレイできるアドベンチャーゲーム(つまり与えられたテキストを漫然と読んでいるだけではないゲームということです)が、なぜ日本にはないのだろうと残念に思っていたのですが、実はファミコン初のアドベンチャーゲームがこんなにもクオリティの高いものだったのですね。
だのに現在の和製アドベンチャーは、昔ながらのアドベンチャーブックを電動紙芝居にしただけのものが多いような気がして残念です(Dの食卓とか弟切り草とかぜーんぜん面白くなかった)。本当のところ「MYST」シリーズ以外はどんなゲームがあるのかも良く知らない『ゲーム無知』なのですが、こちらで紹介されているゲームを是非プレイしたくなりました。
今後もゲームを購入する際の参考にさせていただきます。では長々と失礼いたしました。
AVGの遺伝子 投稿者:AYS/綾茂勝太郎 投稿日: 7月11日(日)18時37分45秒
わー! カセキさん、一ヶ月以上もお返事が遅れて申し訳ありません!!(切腹!)
もう読まれていないと思いますが、書かせていただきます。「ポートピア」が唯一クリアできたのですか。それは思い出深いですね。検索されたとのことなので、ネットに流れているポートピア5分クリアムービーとかご覧になりましたか?
「ポートピア」と「MYST」の共通点は、おっしゃる通りですね。
これは、たぶんアドベンチャーゲームの祖であるアメリカのパソコンソフト「アドベンチャー」「ミステリーハウス」なんかの影響なのではないでしょうか。
堀井雄二は「ポートピア」を作るに当たって、当時まだ新しかった「ミステリーハウス」を念頭に置いたそうですし、「MYST」も、アメリカのアドベンチャーゲームを土台に、美しいグラフィックとマウスオペレーションによるゲームデザインという制約から、ああいう形になったのだと思います。おっしゃっている共通点というのは、実は「ICO」にも当てはまると思うんです。
「ICO」の制作者の方は、おそらく(「プリンスオブ・ペルシャ」もでしょうが)「MYST」や古典的な欧米のAVGを意識したと思います。
そして「ICO」が欧米のゲーム開発者に絶賛されたのは、そうした欧米の伝統的なアドベンチャーイズムが流れていることを彼らが敏感に感じ取った、という側面が大きいのではないかと私は想像しています。しかし、「弟切草」「かまいたちの夜」「街」のチュンソフトサウンドノベル三部作は、(特に前二者は)選択肢を選ぶだけというゲームデザインによってAVGの退化としばしば言われますが、私はそうは考えません。
このサイトの「逆転裁判」のコラムhttp://www.intara.net/og/gyakuten.shtmlで指摘したように、AVGはコマンド総当りゲームという落とし穴にはまっていたのです。
サウンドノベルは、コマンド選択という伝統的なシステムを破壊し、なおかつAボタンを押すだけのゲームではない、プレイヤーが能動的に「読む」ゲームを作ったのは素晴らしいと思います。
もし、「かまいたちの夜」(2は駄作ですが)と「街」をやっていないのでしたら、ぜひやってみてください。
たしかに、「弟切草」はいろんな部分の完成度が低くて、私もあまり好きではないのですが、その後の流れを考えると、実験作として無視できない作品だと思います。「ポートピア式」コマンド総当りゲームの陥穽から抜け出したのは、「かまいたちの夜」と「逆転裁判」だったと私は思います。それぞれはまったく違うアプローチでした。
もしも「逆転裁判」をされていないのであれば、これもぜひやってみてください。「ポートピア」から15年して、ようやくコマンド選択AVGは次の階段を上ったのです。そういえば、「ファミコン探偵倶楽部」の1と2がファミコンミニとして復活しますね。特に2は名作なんですが、いまプレイすると、コマンド総当りは、正直かなり辛いと思います。
さて、「金八」は「街」の階段をさらに上ったものなのか。プレイする機会が楽しみです。
7月29日追記
インタビュー「『ICO』を振り返る」
http://www.i-c-o.net/main/new_main_itv.html