俺の屍を越えてゆけ

なんとなく『奇跡体験!アンビリバボー』航空パニックスペシャル!! を視聴。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2003/03-268.html
この手の海外再現ドラマ(ほとんど日本国内で撮影されているらしいが)は密かな人気で、毎日やってるらしい。
クサイ構成・脚本が鼻についたが、特にこの手の話に必ず出てくる「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」。

☆『コックピットに座った日本人看護師』
 2003年2月3日、異変はロサンゼルスから成田へ向っていた大韓航空機002便で起きた。5時間前にロサンゼルスを定刻通り離陸した飛行機は、安定した水平飛行に入り、トラブルの兆候などなかった。
 「すみません!お医者様はいらっしゃいませんか?」度重なる呼びかけに国立病院東京医療センターに勤務する佐藤は「何かお手伝いできることはありますか?私、看護師なんですが」…

 機内で病人が出現し「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」はドラマや映画でよくある風景…だが、医者が乗り合わせていなかった場合、いったいどうするのか!

☆『高度1万メートル決死の緊急手術』
 1995年5月10日、香港からロンドンへ向う英国航空機がインド上空にさしかかった時に、事件は起きた。「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」英国・ノッティンガムのクィーンズメディカルセンターの整形外科部長をつとめるアンガス・ウォレス医師は客室乗務員に申し出た。「医師のウォレスです。機内放送を聞いたもので…」患者はスコットランドに帰国途中の39歳ポーラ・ディクソン。「ええ…痛み止めも頂いて…大分おさまってきました…」という患者だったが、既にこのとき、彼女の体内では恐るべき事態が進行していた…

私はあまり飛行機や新幹線などには乗らないのだが、「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」というセリフを実際に聞いたことが一度もない。実際にはあるものだろうかと気になっていた。
以前医療関係の仕事のアルバイトしていたのだが、ちょうどお医者さんの飲み会があって、この話題が出た。
なんと、その場にいた6人ほどの医者(40〜60代)のうち、1人を除いて全員が「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」で名乗り出た経験があるという。
さすがにこの番組のような緊急大手術なんていうのはない(自宅で自分の飼い犬を緊急手術をして救ったという医者はいたが)。
で、その報酬はどうなっているのかも気になっていたのだが、航空会社から金一封でもあるのかと思ったら、特にお金はもらえないらしい。
ある航空会社では、診た後、ファーストクラスに席を変えてくれて、いろいろサービス攻勢があったという。また、ある航空会社では、ワインを送ってきたという(下でリンクを張ったスレにも同様の報告が)。
まったく何もなしというのもあった。
JRの場合、忘れた頃にお礼状と時刻表が送られてきたとか。時刻表かよ!

遙か彼方で働くひとよ。 フィラデルフィアの病院からの手紙。 http://www.1101.com/philadelphia/1999-07-25.html ではスリッパか。

ただ、名乗り出て医療ミスがあったときの問題がある。
私が話を聞いたお医者さん達は、外国人労働者を無料で診察したりしてるような“正義のお医者さん”達なので、あまりそういうことは気にしてないようだったが、2ちゃんねる病院・医者板を見ると、
飛行機の中で手をあげますか? PART2
http://society.2ch.net/test/read.cgi/hosp/1064240994/
飛行機のドクターコール
http://ton.2ch.net/hosp/kako/1008/10081/1008137946.html

やっぱり訴訟になったりするのを恐れたりとか、あとは単純に面倒くさいという理由で、けっこう名乗り出ないもののようだ。まあ2ちゃんねらー医師はそんなもんかもしれないが、人としてわからんでもない。
人にない能力を持っていたために、厄介ごとに自ら飛び込まなければならないハメになり、その勇気が試されることがある。
私の好きな映画のひとつ『デッド・ゾーン』なんかがその典型かもしれない。予知能力を持ってしまった男の悲劇(スティーヴン・キングの原作は読んでないが)。
ある種の行動(ネタバレなので)を肯定するようになってしまうかもしれないが、私はこの映画のラストシーンが好きだ。真似できるかどうかはわからないが。