費用対効果が素晴らしいので、ここ2年ほど、NHKの英語講座を複数やっている。
1講座が、1ヶ月350円。(テキスト代)
しかも、書店等で買う教材(いつやってもいい)と違って、勝手に放送していて、こちらが放送にあわせなければならないので、サボりづらい。
まあ、もしサボっても、350円の投資だから損にはならない、というわけである。


こういうのがあるのに、高価な教材を買う人の気が知れない。
英語の勉強をしたいのに、NHKの講座を聞かないのは、毎日郵便ポストによくできた英語教材が無料で届けられているのに、毎日捨てているようなもの。もったいない。


NHKの語学講座は、4月〜9月、10月〜3月という2学期制で、今週から後期に突入。
いくつかの講座の担当講師が変わったり、新講座ができたりした。
http://www.nhk-book.co.jp/text/gogaku/2006autumn/index.html
http://www.nhk-sc.or.jp/gogaku/


テレビ講座は、どちらかというとエンターテインメントとして作られているので、楽に見れるが、その分、あまり勉強にはならない。
私は「おやつ」と呼んでいる。他で英語の勉強をやっている人が気分転換に見るのはいいが、これだけではほとんど勉強にはならない。
音読をさせてくれるテレビ講座はないことからもわかるように、トレーニングにはならないのである。


「テレビで留学! コロンビア大学英語講座」は全編英語なので、日常生活的なリスニング強化にはいい。だが、これだけやってもあまり力にならないだろう。週1回は少なすぎる。(まあ、同じのを何十回も見たり、先生のセリフを全部書き取ったりすれば別だが、そんなことができる人はほとんどいないだろう)
新しく始まる「まちかどリスニング」はどうなのかな? まだ見ていないので不明。


やはり、本気で勉強するなら、週3回あるラジオ講座をやらねばならない。


ラジオ講座は、一回15分。ほとんどの番組が週3回なので、週たったの45分。だが、密度が濃いので、15分が英会話スクールの1時間や2時間に匹敵する。
「基礎英語1」「基礎英語2」「レベルアップ英文法」という中学生レベル向けと、
「英会話入門」「英会話上級」というレベル別の総合英語学習番組、
「徹底トレーニング英会話」という例外的に週6回あるトレーニング番組、
「ビジネス英会話」という番組がある。

  • 中学レベル

「基礎英語1」「基礎英語2」は、英語をまったく習ったことがない人向けなので、大学を出ているような人にはまあ不要だろう。
「レベルアップ英文法」は、スキット(例文となる寸劇のこと)が、中学生ライフであることが難点だが、とてもよくできていて、英語が苦手な人が基礎をやり直すのに最適。
私も、飯を食べながらテキストなしで聞いていて、けっこう新しい発見があったりして勉強になっている。英語が苦手な人にオススメの番組。

  • 入門・上級

「英会話入門」は、講師が遠山顕氏になった(以前は中級や上級も担当していたので、聞いていた)。私が一番好きな講師で、とにかく内容が盛りだくさんで、楽しい。
ただ、入門といっても、遠山氏のスタイルは、「英語特有のやや特殊な表現を学ぶ」というものなので、とても勉強になるのだが、反面、単語を入れ替えるだけでいろいろな場面で使えるような汎用表現をたくさん学べるというわけではない。
他で基礎をちゃんと勉強している人向けの番組といえる。
本当に「入門」したいなら、「レベルアップ英文法」をやるべきだろう。
ただ、楽しく、いろいろな英語の能力を鍛えられるので、他の講座と組み合わせてやるのを強く推奨したい番組。


「英会話上級」は、まあなんとか英語は話せる、というレベルの人向けの番組。今期は、講師とアシスタントが上品なので、一番NHKの講座らしいかもしれない。でもネイティブが一人というのはさびしい講座だ。

  • ビジネス英会話

「ビジネス英会話」は、名前に反して、実質的に「英会話最上級」といえる。
以前は、違う講師が実践的なビジネス英語(商談の仕方とかプレゼンの仕方とか)を教えていたこともあったようだが、現在の講師である杉田敏氏のスキット(番組ではビニェットと呼ぶ)のスタイルは、「教養ある人たちが、職場で知的な雑談をしている」というもの。
本当にビジネス英語が必要な人が、手っ取り早く必要な言い回しが学べるということはぜんぜんない。


だが、普通の辞書にまだ記載されていないような新語(英辞郎には載ってるけど)、難易度の高いもったいぶった言い回し(ネイティブでも教養のない人は言えないのでは? って感じの)、スラング等のボキャブラリー強化がよくできていて、ネイティブの英語による解説もあって、大変勉強になる。
杉田氏の「つまりこういうことですね」という一言解説もツボをついていていい。
私は録音したのを止めては辞書を引き、というのを繰り返すので、15分番組をやるのに30分以上〜1時間ぐらいかかってしまう。

「徹底トレーニング英会話」は、日曜以外毎日放送があるという特殊な講座。旧称「レッツスピーク」 。
レベルは入門より難しく、上級より簡単、かな。
ただし、解説はほとんどなく、「理屈より練習して体で覚えろ」という感じ。
毎日ディクテーションコーナーがあるのがとてもいい。リスニングだけでなく、文法力も鍛えられる。(ディクテーションというのは、よく聴き取れなかったり、書き取る間に細かいことを忘れてしまっても、文法知識があれば補完できる。たとえば、三単元や複数形のsの有無などは、音からではなく、文法知識からでも書くべきかどうか判断できるのだ。そうしたミスや、スペルミスなどに答えあわせで気づけるので、文法力強化になる)

とにかく毎日教材としての英語にふれることができるのはよい。
だが、解説がないので、基礎力がない人にはつらい。これも他の講座と組み合わせてやりたいところ。
スキットもなんとなくつまらないとか、男女ネイティブ1人ずつが複数の配役をやるので(まんが日本昔ばなし方式だな)、時々キャラを混同してしまうのも欠点。


以前あった毎回のリスニングテストコーナーがなくなったのが残念。あれは個人的に、TOEICリスニングテスト対策(満点とった)に役立ったのだが。
(本当は番組の最後にあったのだが、最後だと解説済みでわかっている内容で意味がないので、私は録音して、このコーナーだけ最初に聞いていた。今期のは、木曜日の復習コーナーにあるので、月〜水を学習するのは木曜以降にやるという手もあるが、そういうことしてると挫折する原因になるしなー)


今年のこの講座で重視されているロールプレイコーナーは、英語をしゃべる機会がない人向けなのだろうが、退屈だ。これを2回もやるぐらいなら、他のことをやってほしいところ。
この番組だけリピートやロールプレイのブランク(学習者が発話するのを待つための沈黙)が長すぎるのもかったるい。私は2回言っている。
あと、テキストのイラストがあまりよくない。(「レッツスピーク」がよかっただけに残念)

  • 選び方

番組は、「6ヶ月コース」「12ヶ月コース」などとなっているが、単に「担当講師がその間は同じである」という意味で、別に必要な表現をまんべんなく教えてくれるわけではないので、いつはじめてもかまわない。
例外は中学生向けコース。「レベルアップ」も、1年かけて基礎をまんべんなく習得する。だが、多くの人には一度習ったことなので、別に途中から始めても困らない。


私(いちおうTOEIC 900点)は、今期は「入門」「ビジネス」をコアにしつつ、テキストなしの「レベルアップ」で完璧にシャドーイングなどをやって、「徹底」もやる、という感じ。
忙しかったら「徹底」や「レベルアップ」は省略したり、「ビジネス」は一時的に挫折したりするかも。


英語があまり得意でない人は、「レベルアップ」「入門」をやるといいと思う。余力があるなら「徹底」も並行してやるといいだろう。


いずれにせよ、レベル分けというよりも、講師の個性が強い番組群なので、お気に入りの講師を見つけるとよい。(つまり、とりあえず全部録音してみて、早送りしながらでもいいから、自分にあった講師とレベルの講座を見つける)

  • 録音方法

番組は、タイマー録音できるラジオを持っている人は少ないだろうから、ビデオとラジオをつないで録音(真っ暗な画面で音だけ録画)するとよい。
ちょっとだけ戻したり、削除するのが容易なHDDレコーダーが望ましい。(私はそうしている。チャプター機能で、聞き取れなかったところだけ何回も聞いてみるとかもできる)
ラジオをつけっぱなしにして、ヘッドホン端子に接続ケーブルを差込み、ビデオの外部入力端子(赤と白のコンポジット)につなげればよし。
接続ケーブルは、たとえば下記のもの。どちらか1個でOK。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00008BA59/sr=1-3/qid=1159932667/ref=sr_1_3/250-6304573-5994635?ie=UTF8&s=electronics (5メートル)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0009XZV0M/sr=1-6/qid=1159932667/ref=sr_1_6/250-6304573-5994635?ie=UTF8&s=electronics  (1メートルなので、ちょっと短すぎるか)
あとは、チャンネルを、上のケーブルを差し込んだ外部入力にして、予約録画をすればいい。

ポイントとしては、聞いた番組は消す。保存しておいてもいいが、どうせ聞きなおさないと思うし、後で面倒が増えて学習時間が減る。復習はテキストを読み直すだけで十分。

  • 個人的な要望

最後に、ラジオ講座オタ化してる私の、「こういう編成にしてくれたらいいのにNHK」という願望を。

    • 基礎1、基礎2、レベルアップ→そのまま(基礎1・2はぜんぜん聞いてないので知らんけど)
    • 入門→高本裕迅氏(内容は2006年前期の感じで、よく使う表現を一通りやるという、文字通りの入門番組。氏の上級はイマイチだったが、入門はとてもよかった。)
    • 中級→遠山顕氏(2005年の氏の中級のような感じで、あまりレベルにこだわらずに伸び伸びと。「英会話で楽しもう」みたいな感じのタイトルでもいいかも)
    • 上級→まあ、あってもなくてもよい。そのかわり、↓をやる。
    • 大人の知的英会話→杉田敏氏「ビジネス英会話」そのままの内容。あるいは場所をビジネスの現場に限定しない。
    • ビジネス英会話→実践的なビジネス英会話の内容に

という感じで編成してくれると理想的だと思う。

(この記事の続き→id:AYS:20061024)