先週、カンボジアアンコールワットへ行ったが、想像していたよりずいぶん小さい遺跡だった。
というのは、やはり一昨年イタリアのポンペイに行ったからだろう。何しろ街ひとつが遺跡になっているのだから、反則である。
アンコールでは、民家は木造だったので残っていないのだ。

ポンペイ遺跡は、街歩き中心で、あまり出土品などは見る機会はない。(ナポリの博物館とかにあるらしい)

ポンペイ遺跡に出向いても見ることができない、装飾品や壁画や像などを見ることができる展覧会、
渋谷bunkamuraの「ポンペイの輝き」展が日曜で終わってしまうので行ってきた。

http://www.asahi.com/pompei/index.html

bunkamuraはいい展覧会をたくさんやるので好きなのだが、今回も良かった。

欧米を巡回してきた展覧会らしい。bunkamuraのスペースでやるにはちょっと盛りだくさん過ぎて、壁画の前に展示ケースが置いてあるので壁画がよく見えないなんていう不満もあったけど。

ポンペイといえば、埋まった人が朽ちた後に石膏を流して人間の形を型取りしたのが有名だが、型取り技術が進歩してて、残ってた骸骨の形に型取りできるようになってて、骸骨コーナーがあってなんかハリウッド映画みだいだった。

指輪・腕輪・ペンダント、医者の医療器具なども展示されている。
博物館系の展示ではお馴染みだが、普通は墓の副葬品とかだったりするのが、彼らが死の瞬間まで身につけていた日用品だということがポンペイの場合は異なる。また感慨深い。

驚いたのは、コママンガになっている壁画があったこと。
サルウィウスの居酒屋「居酒屋の場面を表した壁画」(展示番号173)Inn of Salvius"Fresco painting with four tavern scenes"
ググったが、残念ながら一枚一枚分割された画像しか発見できなかった。
http://www.pompeiisites.org/database/pompei/Pompei2.nsf/pagine/5B639151FDF5E5CBC1256DC5002DF917?OpenDocument

本当は、これらには赤く枠線が引かれており、横に並べられている。
上記ページでは3枚しか紹介されていないが、実際は4枚で(当時はもっとあったのかもしれないが)、ちょうど4コママンガを横に倒したようになっている。

4枚目は状態が悪いので上記サイトでは割愛されているのだろう。
復元した絵は、下記のPDFファイルで見れる。
http://marcheo.sanc.remuna.org/magazine/magazine2/magazine/magazine2/articoli/articolo1/termopolio.pdf

面白いのは、人物のすぐ上に、それぞれの人物のセリフが描かれていることだ。噴出しこそないが、効果としてはほぼ同じ。

1枚目は男女の接吻のシーン。
2枚目は、客が飲み物を勧めているシーン。(だったかな?)
3枚目は、男が二人、さいころゲームをしている。「俺の勝ちだ!」「いや、今のは2ではなく3だ」とか言っているらしい。
4枚目は、3枚目の男たちが喧嘩し、店主に店からつまみ出されているところ、らしい。

ポイントは、3枚目と4枚目が時間の経過を描いているところ。
これはもう、我々が普段読んでいるマンガと違いはほとんどないだろう。
2000年前の、フレスコで描かれたマンガ。

展示されているコイン、金庫、机、ガラスの器なども、いまのものとほとんど違いはない。
飛行機やインターネットはあるけど、2000年経っても、あんまし人間は進歩してないんじゃないかという気がしてくる。


ちなみに、くだんの壁画は、2004年に放送されたNHKスペシャルローマ帝国』第2集でも紹介されていたらしい。
http://www.nhk.or.jp/special/topics/top2_0411a.html
録画して早送りで見たからなー。