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そういえば年末に『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだのだった。
10〜11月にヨーロッパに行ったとき、どこの空港にもこのペーパーバックが平積みになってて、そのブームっぷりに驚いたものだ。
旅行では、ルーブルやミラノの『最後の晩餐』を見たりするのを楽しみにしていて、この小説も出発前に読んでおきたかったが、忙しかったので時間がなく、帰国後に読んだのだった。
2004年は個人的に割と大変な年だった。小説をまともに読むこと自体久しぶりだったのだが、大変面白くて、一気に読めた。
上巻は。
下巻はちょっと面白さが失速していったのだが、まあまあだった。
内容は、キリスト教圏でよく広く読まれてるなあと思うほど、キリスト教の信仰に対して挑戦的。(だから広く読まれているのか?)
話としては 警察とかに追われて逃げる主人公たち→図像学を中心としたウンチクを語る→ウンチクを語ってる間に包囲される→逃げる というのの繰り返しのストーリー。
「ルーブル美術館館長変死の謎を解く」という話を聞いていたので、そういう推理小説なのかと思ったらぜんぜん違った。
だが、この「逃げる・ウンチク・また逃げる」という繰り返しのスピード感が、ページをめくる手を早めてくれるのも事実。
このウンチクがけっこう面白い。(デタラメも多いらしいのであまり真に受けないほうがよいが)
また、アナグラムとか言葉遊び的とんちネタによる、暗号解読ネタが多い。
これがほどよくヌルくて、登場人物より先に謎が解けたりするので、ちょっとした優越感に浸れるのだった。
強引なネタも多いけどね。ネタバレになるといかんので日本っぽく翻訳すると、
「鳥居の形は「井」という字に似ているだろう? これは元々、鳥居は天井を意味したということなんだよ。つまり、ここに書いてある天井とは、鳥居のことなのさ」
「つまり、勾玉は鳥居の上にあるというわけ?」
「その通り」
みたいな感じ。(もちろんこのウンチクはウソです)
つまり、『ダ・ヴィンチ(=ウンチク)・コード(=言葉遊びパズル)』というわけなのだ。
テレビでは昨年は『トリビア』、最近はなぞなぞ・知能テスト的な番組が流行ってるみたいなので、世界的にこういうのがウケるのかも。
キリスト教ネタは、大学でキリスト教学をかじったこともあるので、読んでてかなり無理があるなあと思った。
聖書の記述を否定するのに聖書の記述を根拠にしてたりする感じで、やっぱしキリスト教世界で育った人が人が書いてるんだなあと思ったり。
言葉遊びは面白いが、説得力というか真実味はあんまりない。
だいたい、ダ・ヴィンチの時代はそう呼ばれてなかっただろ、という初歩的なツッコミを誰もが入れるだろう。
というのはともかく、この本のおかげで久々に小説とかいろいろ読みたくなったので、最近はちょこちょこと読み始めているのだった。