ゲームの話をしよう

先日http://d.hatena.ne.jp/AYS/20040415、志田英邦さん(id:shidaill)に伺ったお話の内容を箇条書き的に紹介。ひとつひとつがじっくり考えるに値するトピック。
いやあ、やっぱりゲームライターにはなれんなあ、と志田さんとお話していて改めて痛感。
次々と発売されてくる新作ゲームに対して、正対するその姿勢に感銘を受けた。

▼つまらん揚げ足取りはいかん
志田さんはネットがお嫌いだという(細かいニュアンスがいろいろあったのだが)。
「たとえば、野安ゆきおさんが「ドラクエと中世」というテーマで書いたことに対して、野安さんの意図はそういうところじゃないのに、2ちゃんとかで揚げ足をとったりとか」。
……。2ちゃんじゃないですけど、それたぶん私です。すいません。一応言い訳しておくと、読みかじった付け焼刃の知識でゲームを語ろうとするの、やめましょうよ、という意図だったつもりなんですけど。

岩谷徹イズム
たまたま『リブルラブル』の話が出たので、以前http://d.hatena.ne.jp/AYS/20030906も書いたが、一番操作が簡単なゲーム『パックマン』の作者の岩谷徹氏が、なぜ一番操作が難しい『リブルラブル』を作ったのか、という私の疑問に対する、志田さんの見解をお聞きしてみた。
志田さんの考えでは、2作で岩谷氏のゲーム哲学は一貫しているという。それは、「ボタンを使わない」こと。なるほど! それは気づきませんでした。
たぶん、岩谷氏はレバーによる直感的な操作は好きだが、ボタンを押すというインターフェイスには懐疑的なのではないか、と推測。

▼1画面でルールがわからない
志田さん曰く、3Dゲームの最大の欠点は、1画面でルールがわからないことだという。ファミコンでは、画面を見れば一目でルールがわかった。だがPS以降、それがない。

▼ウォーレン・スペクター
欧米のゲーム理屈系ゲーム制作者について。
ウォーレン・スペクター(Warren Spector)という、私はまだ聞きなれない人の名前を教えていただく。
http://www.4gamer.net/news/history/2004.03/20040326234637detail.html

彼が壇上に立った「Game Narrative:What would Aristotle do?」(ゲーム中の物語:アリストテレスならどうするか?)という講義において,ゲームのストーリーは,
1) 一直線に進んでいく「リネア型」……「Half-Life」や「Prince of Persia」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなど
2) 過去や現在進行形の物語をNPCから伝えられる「リトールド型」……MMORPG全般や多くのRPG
3) プレイヤーが紡いでいく「プレイヤージェネレイテッド型」……「シムピープル」や「ネヴァーウィンター・ナイツ」など
4) 開発者の牽引でプレイヤーが物語を導き出す「シェアード・オーサーシップ型」……「Grand Theft Auto」「Deus Ex」シリーズなど
の四つに大別できるとした。
 スペクター氏は,この中で最もインタラクティブなのは四つめのシェアード・オーサーシップ型だと語る。これは,グローバルなレベルでは開発者が制作した道筋があるが,ローカルレベルではプレイヤーに自由が与えられている仕組みだ。
 プレイヤーになんでもできるような錯覚を与えながらも,飽きたり見失ったりしないように大きな部分でのストーリーを確保しておくのである。氏は,「ゲームを楽しんでいる行為そのものが労働であり,それに対して報酬を払うとすれば,プレイヤーが満足できるだけのストーリーを与えるべきだ」と締めくくった。

個人的にはいまいちピンとこない分類。というのは、例に挙がっているゲームをほとんどやってないからなのだろう。
これは、昼間井上さんが似た分類をしていた気が。「シミュレーション型」とか。なんでしたっけ?>井上さん(読んでないだろうけど)

▼ゲームは大和言葉で語られていない
平林久和さんは、「ゲームは大和言葉で語られていない」と指摘する、という。たとえば酒なら「まろやか」などといった形容の仕方があるが、ゲームにはそれがない。それがいかんらしい。なるほど。

▼誰と会話して“世界観”を知るか
XboxRPGStarWars Knights of The Old Republic』
http://d.hatena.ne.jp/shidaill/20040407#p3

会話シーンは字幕&フルボイスだけど、会話のたびにすぐに選択肢が表示され、ひとつひとつ自分でセリフを選びながら進んでいく。ひとつのシーンで何回もセリフを選ばないといけないため、かなりの英語力が必要……(泣)。
ここらへんが、『ドラゴンクエスト』などの日本的RPGと違うところだ。街中の住人全員とひととおり話すのではなく、ひとりとじっくり会話する。しかも、ひとりの人物といろんな話題で何度も会話することで世界を深く知るわけである。つまり、登場人物と対話するゲームになっているんである。

という話について詳しく伺う。

▼テクノロジーを解る
PS3を真に語れるライターは、次のふたりだけではないか、と。
後藤弘茂http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/kaigai.htm
西川善司http://www.4gamer.net/specials/3de/3de.html http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/nishikawa.html
『CONTINUE』http://www.ohtabooks.com/continue/index.shtmlのライター陣は、ご自分も含めて「率先してサルになる」エンターテイナーであると。
だが、テクノロジーをいかにわかるか、が今後の課題とのこと。
たとえば、PS2というのは同じモデルをいっぱい出すのが得意なハードウェア。だから、同じ服の一般兵がうじゃうじゃ出てくる『真・三國無双』シリーズが可能だったという。
一方で、『逆転裁判』はテクノロジー<テクニックという作品であり、そういう作品も出てきたことに注目しているとのこと。
なるほど、「テクニック」と表現すればいいのか。

とりあえずこんなところで。