kill bldg.

夕方から六本木へ。探すまでもなかった。あのエスカレーターを上ると、その回転ドアがあった。事実上の正門の、3基ある回転ドアのうちの真ん中のドアがそれだったらしい。
左側には献花台が置かれていたが、それはお菓子と玩具で溢れていた。
その場所の回転ドアはすべて閉鎖され、周りの他の回転ドアは中扉が外され、普通の自動ドアモードになっていた(そんな変型ができる設計だったのか)。
その回転ドアは記憶していたよりずっと巨大だった。何かの物語に登場する巨大な歯車を思わせた。歯車に吸い込まれて死んでしまうキャラクターがいる物語を。

ぐるっとパスで割引してもらい、展望台へ。空から見る桜はどうかと思ったが、青山墓地の桜の木が十字状になっているのが見えた程度。しかし何度来てもこの展望台はイイ。地球が丸いのを実感する。
外国人に「あれは富士山ですか?」と聞かれて、初めて富士山が見えるのを知る。羽田空港や、遠く横浜のランドマークタワーも見える。
それが見えるということは、太陽から発せられた光が、その建物に反射して一瞬にして私の目に入ってきたということなのだ。いわば光の間接キス。日常生活では得られない有視界距離の長さと、光が媒介する奇妙な近接感にクラクラする。

草間を先に見えると毒されて他の作品がまともに見れないかもしれないと思ったので、先に六本木クロッシング展へ。
現代美術のカタログ的展覧会。前回のハピネス展http://d.hatena.ne.jp/AYS/20040117古今東西美術のカタログ的な展覧会だったので、似た感じ。

帰ってから読んだのだが、http://d.hatena.ne.jp/eyck/20040315さんの全レビューが圧巻。
今回は気に入った作品はあんましなかった。
あと、解説を壁に貼るんじゃなくて印刷して客に持たせる森美術館の姿勢には共感するのだけど、今回のは新聞になってて、開くとでかくて会場では激しく見づらい。

フジタマ「くばるひと10」という、ポップな感じ(?)の神棚を作る作品がけっこう面白かった。どんな材料で作ろうとも、どれも神棚に見えるというのはすごい。センサーとかと電子部品を使ったものも多く、神棚という存在をなめまくってるという点でも、タミヤの神棚工作基本セットを思い出させた。というか案外これが発想の元なのかな?

八谷和彦さんのメーヴェ1/2もあって見ることができた。ビデオ上映の前に置いてあるベンチ(?)に「座ってもいいです」とか小さいシールに書いてあったり、「操縦方法検討のための、操作把試作」を握ってみるとやっぱり小さなシールが貼ってあって視線の方向に「↑羽田空港」とか書いてったりして、ちょっとよかった。
http://d.hatena.ne.jp/hachiya/20040329でオーディエンス賞が取れなかったことに落胆しているけど、やっぱりこれは実際に飛ばしてナンボという性質の作品だから、この展示自体が面白かったかどうかと問われるとう〜んということになるのはしょうがないのではないだろうか。
メインのメーヴェ1/2も、航空博物館的に展示して見栄えするのは成功してからという気がするし。(でも直接間接の資金調達の点から、今回の展示はしてよかったんだろうとは思う)
意図してやっているんだとは思うが、上映している映像も撮影方法とか編集とか、素人のホームビデオを延々見せられている感じで退屈なのもなあ。この前のスケッチブックプレゼンみたいなプレゼンセンスが上映映像には感じられない(本人に読まれる可能性大なので言いづらいけどこの前買ったDVDもそうだった)。
映像とかはあくまで記録のためであって、それは作品ではないということなんだろう。メインのプロジェクトに専心するためならば、文句はない。応援してます。

八谷さんの作品もそうだけど、森美術館超高層ビルの上に展示会場があって、しかも窓があるというロケーションを利用した展示ができるのが他にはないとこ。
今回は生西康典+掛川康典「H.I.S. Landscape」という、夜景が見えるガラスに、反対側にあるスクリーンの映像を映すというインスタレーション展示があったけど、あんまし面白くなかった。
スクリーン下のベンチに座ると、(私の場合)アイレベルのところにちょうどガラスの境目の線があって、下に夜景、上に暗闇が広がるようになる。投影された映像は上半分の暗闇部分に映っていて、境目の線で分断された下の夜景とは別の画面を構成していて、ぜんぜんダブっているようには見えない。上述の全レビューによると、東京大空襲の映像もあったそうだが、私が見たときは違う映像だったのであまりたいしたことないなあとか思ってしまった。


クサマトリックスは版画とかもあるのかと思ったら、インスタレーション展だった。
合わせ鏡とか、私好みの題材なのだけど、角度とかの問題なのか、あんまり無限感を感じさせてくれないので残念。暗闇+合わせ鏡で電球が蛍のように発行し、それが無限に続いて見えるという作品は期待していたのだが、これもそれほどイリュージョンじゃなかった。
こっちがメインで、六本木クロッシングの方がサブな同時開催だと思ってたら、規模的には全く反対だった。草間の毒に殺られるかと身構えていたのでやや拍子抜け。各所で話題の草間の歌はむしろ和んだし。

帰りがけに今度は夜の展望台を楽しんでいたら、明日のイベントに誘っていたid:fvjkさんから電話があって(ちゃんとPHSが繋がるのでありがたい)、仕事の帰りで、六本木にいるなら今会いましょうと言われてびっくり。六本木ヒルズのふもとの定食屋で会食。