ひらりと

id:ityou:20040322さんが書いてたので知ったのだが、id:gnekonoさんのはてなダイアリー「What is cRPG?」はコンピュータRPGのシステムに関する考察で、私の問題意識と共通していて面白い。
というかなんでもっと早く教えてくれないかなあ。他にも何か隠してるページがあったら通報しますたをひとつよろしく。

たとえば、
http://d.hatena.ne.jp/gnekono/20030921

プレーヤーがゲームを進めていくと、一枚の扉に当たる。その扉は、製作者が設定した条件(鍵を差し込むとか呪文を唱えるとか、どこか別のところにあるスイッチを押すとか)を満たすと開く。プレーヤーは先に進むことができるわけである。
 ドラゴン・クエスト(DQ)やwizardryでは扉はそのまま扉として出てくるし、跳ね橋や門番の形をとってもいい。
 アドベンチャーゲーム(ADV)では特定の選択肢を選ぶこと。順番も関係あるかもしれない。専門用語があって「フラグ」と言う。
 扉が開くことを「フラグが立つ」と言うのである。

は、私が昔書いたhttp://www.intara.net/og/zelda.shtmlの議論と共通しているし、
http://d.hatena.ne.jp/gnekono/20040305

 タクティカル・シミュレーションゲームの例ではヴァンテージマスターがある。これもコマAがコマBを攻撃したら何ダメージというのが厳密に決まっている。
 こうした戦闘にランダム性のないゲームの場合、
 結果を予測すること=先読みをすることこそが、ゲームに勝つ手段となるのだ。
「ここで角を進めたら桂馬が来て、桂馬を銀で取ったら飛車に取られて……」
と先を読んで詰めていく作業が、ゲームの中心となる。

は、私が昔書いたhttp://www.intara.net/og/fe1.shtmlの議論と共通している。
なんというか、小人さんが私の寝ているうちに私の代わりに書いてくれたテキスト群という感じ(って言いようはよろしくない?)。注目ゲーム論者がまたひとり。


というわけで、ちょっと軽くツッコミを入れてみて議論の発展を待ってみるテスト。

http://d.hatena.ne.jp/gnekono/20040316

命中および回避は、こうげきやぼうぎょと同じくゲーム進行のうえでの扉として使うこともできる。
 モンスターへの攻撃の命中が低すぎれば、いくらこうげきが高くてもモンスターを倒すことはできない。
 回避が充分高ければ、どんな強いモンスターの攻撃も無効にできる。プレーヤーはゲームを先に進めることになるだろう。
 極端な場合、敵が「即死に近いダメージを与えるこうげき」をおこなうことがある。こうげきを回避することだけが、ゲームを先に進める手段となるのである。
 たとえばロマンシングサガシリーズには「見切り技」というのがあって、敵の特定の攻撃をかならず回避することができる。
 敵の致死に近い攻撃をどの見切り技を使って回避するかがゲームの重要ポイントとなるため、このようなcRPG覚えゲー・パズルゲーの要素を持つ。
覚えゲー:試行錯誤することで必勝操作法を覚え、先に進めるゲームのこと)

この辺の解釈の相違はやってきたゲームの違いによるのかなあ。この議論の場合、守備力(防御力)も回避率もどっちも高くできる場合、どっちを優先すべきかという話のようだ。
一方、私は守備力と回避率はトレードオフになる場合が多い(または望ましい)と考える。もちろん鎧でも戦車でもそうだが、重装備にすると防御力は上がるが重くなって機動力が鈍るからだ。
私が(アクションゲーム性のない)コンピュータRPGにおける回避と防御を考えるとき、思い浮かべるのは『ファイアーエムブレム』シリーズである。
『FE』シリーズの初期には、「盗賊」というユニットはドラクエのスライムのように弱いキャラクターであったが、ある時期を境にはぐれメタルのように回避しまくるユニットに変わってきた。『FE』では命中率が画面で明示されるが、それが1%だったり、ときには0%だったりするようになってしまったのだ。
ゆえに、守備力は高いが回避の低いアーマーナイトよりも、むしろ守備力は低いが回避の高い盗賊の方が「壁役」(敵のターン時に敵の攻撃を受ける役)として適するようになってしまった(回避すれば体力を回復させる必要もないし)。
しかし、命中率0%ならともかく、命中率が低いといっても命中すればダメージは大きい。一撃死するHPで壁役にするのは愚かだが、2発食らうと死ぬなどということはある。
つまり、この場合、回避に頼るというのは、守備力に頼るよりもコストは低いものの、リスクが高いのである。バクチ的要素が高いといってもいい。

『ロマンシング・サガ』における「見切り」は、特殊な攻撃を確実に無効にするスキルのことであり、リスクはまったくない。そういう意味で、また話が別のような気がするのだ。
回避していると考えることも出来るが、防御力無限大と考えてもよいのである。システム的には同じだ。

RPGにおける防御というのは(一般的な意味とはやや異なり)、肉を切らせて骨を絶たせないというか、傷は負うが致命的なダメージは受けないようにするという消極的かつ安定的な行動のことだ。
一方、回避というのは、成功すればまったくダメージを受けない(だが失敗すれば防御のようにダメージが減ることはない)ことを指す、積極的かつリスキーな行動である。