─( ゜ ∀ ゜ )< さいたまさいたま!

うらわ美術館へ。http://www.uam.urawa.saitama.jp/
埼玉県に(たぶん)初めて足を踏み入れる。というか浦和はサッカーで有名だったけど埼玉県だって知らなかった(県庁所在地だったのにかよ!)。
横道のいろんな店とかを見ながら行ったら曲がるべき道を通り過ぎてしまい、埼玉県庁まで行ってしまったが、なんとか到着。
http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran_doc.htm

まどわしの空間−遠近法をめぐる現代の15相  
2003年11月18日(火)〜2004年2月22日(日) 
ギャラリーA・B・C

主にルネサンス以降、遠近法は西洋絵画の第一の前提でした。それは近代自然科学の成果のひとつであり、従って単に絵画の図法のひとつというだけではなく、それ自体が近代の大きな思想でした。そして私たちは遠近法的な絵画空間を不変の真理であり自明のことであるかのように受け入れてきましたが、古今東西の空間表現の多様性を見てみると、必ずしもそうとは限りません。中世のヨーロッパや中国、また日本にも、それぞれ独自の「遠近法」がありました。とは言え西洋の近代遠近法は、私たちの視覚世界を強固に条件づけ、制約し続けていたと言えます。そしてこのような遠近法の束縛から逃れることによって、初めて20世紀の絵画が成立したとも言えるでしょう。  
本展では、このような遠近法について、強調や歪み、錯綜を示す作品やそれに関連しつつ様々に展開する作品を現代の視点から紹介します。絵画、写真、立体、インスタレーションなど多様なジャンルから、国内外の14人の作家と1組のコラボレーションによって15の表現として構成します。遠近法に基づく作品は、従来の素朴な受容と表現の範囲を越えて現在もなお様々に姿を変えて存在しています。そしてこのこと自体が、遠近法の持つ問題の大きさを物語っていると言えるでしょう。

出品作家
アンソニー・グリーン/川村直子/小本章×永原ゆり/ジョルジュ・ルース/タイガー立石高松次郎/デイヴィッド・ホックニー/鯨津朝子/友利宇景/中村宏/平松賢太郎/福田繁雄/三尾公三 /屋代敏博/ヤン・ディベッツ

630円。私は遠近法とかだまし絵が好きなので、数ヶ月前にポスターを見てからとても行きたかったのだ。
で、内容だが、全体的には期待はずれ。絵はだまし絵的なオモシロさはいまいちだし、芸術としてウツクシイと感じられるものはあんましなかった。
インスタレーションも意図はわかるんだけど、別に面白くもなんともなかったり、「ああ、たしかに見るほうが努力すればイリュージョンに見えなくもないですネ」というようなレベルのものが多い。努力は認めるが正直あんまし面白くは、ない。
ところが、唯一の例外があった。これは私がこれまで見てきた展覧会の中で一番感動した作品。実に面白い。ふしぎだ。
これは実物を見ないとぜんぜん面白さがわからないと思うけど一応書いておこう。ほぼ同じ作品を載せてくれているページがあったので引用。
http://www.g-cp.co.jp/artists/KAWAMURA_naoko.html

川村直子
KAWAMURA Naoko

線から点へ シリーズNo. 2000-1<素材と制作の方法について>
柱径0.25mm・縦2m75cmのピアノ線1,500本余りを、それぞれ、その線上の上下に、間隔65mmごとに、球径2mm前後の鉛の塊をハンダづけする。それらの先端を天井面 においてメッシュ状に10cmの等間隔で垂直に吊り下げていく。

景観としては、ピアノ線の線上の塊が、約60,000個の点となって上下前後に連なりながら、放射状に広がっていき、その点線は、無限に増殖し拡散していくように見える。

今回の展示作品は間隔7cmごとのワイヤーに8cmの等間隔でハンダをつけてある(数字は逆かも)、という説明だったと思うがほぼ同じ。一種の錯視発生装置とでもいえようか。
リンク先のページの写真をよーく見ると、格子状の模様が見える。これは画像圧縮のブロックノイズではない。ほぼ垂直とほぼ水平の線も見えるが、写真下中央に×字状にクロスしているようなものも確認できると思う。
実物を肉眼で見ると、この格子がよ〜く見える。というよりも、見ようとしなくても目が勝手に格子模様を認識して、パターン再生してしまうのだ。
音は聞こうとしなくても聞こえてくるが、たいていの美術作品は意図的に見ようとしないと何も見えてこない。しかしこれは目を開けているだけで意図しようがしまいが格子模様を脳内で自然発生させ、視覚系をあっさりと蹂躙する。
視線か視点を動かすと、その格子が微妙に形を変えながら、追随してくる! しかも奥行きがオカシイ。生まれてこの方決して体験したこがない視覚体験。脳は大混乱。
これまで一番面白いなあ、と思ったのは昔大垣まで見に行ったメディアアート展で見た磁性流体を用いた「モーフィングする幾何学模様CGの現実版」みたいな児玉幸子+竹野美奈子「突き出す、流れる」(後にいろいろな賞をとった)http://www.iamas.ac.jp/interaction/i01T/J/shotai.htmlだったのだが、あれは見ていて面白かったし、ふしぎだったが、こちらの脳みそをかき回すほどのパワーはなかった。
川村直子のはすごい。ただハンダがついたヒモがいっぱいつるしてあるだけなのに、鑑賞者である私の視覚系が破綻をきたす。
で、これが一番最初の展示なものだから、後の展示がすっかり色あせてしまった、という部分もあるが。
ぬ、検索したら14日まで銀座で個展やってるのかhttp://www.gaden.jp/ex_but.html。でも買わないのに画廊行くのはアレなんだろうなあ……。
偶然の出会いとしては、 デイヴィッド・ホックニーのフォトコラージュがあったのだが、ちょうど数日前から飯沢耕太郎『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書)という本を読んでいて(たまたまその日も埼玉へ向かう電車の中で読んでいたのだが)、前日に読んだpp.10-52にホックニーの同じ手法を用いた作品が載っていたのでちょっと驚いた。(本人のかどうか知らないけどこんな手法→http://www.chineseamericanprincess.com/photos/hockney/top.html http://kun.co.ro/putsch/hockney.jpg
その他、無料展示で「赤羽夕景−高田誠・石井桃子の家路より−」も見る。

コレクションによるテーマ展VIII 浦和アトリエ村3
赤羽夕景−高田誠・石井桃子の家路より−
2003年11月8日(土)〜2004年2月22日(日)
但しイベント開催のため12月13日(土)から22日(月)まで休室
ギャラリーD

昭和の初期、浦和はアトリエ村のようだと言われていました。当館ではそこに集まった美術家たちを紹介し、その様相を探っていますが、3回めにあたる本展では、洋画家の高田誠、そして児童文学者の石井桃子に焦点を当てます。          
二人はほぼ同時代に浦和・中仙道沿いにある旧家に生まれ育っています。高田は、旧制中学在学中に「浦和風景」を描いて二科展に入選し、注目を浴びました。一方、多くの優れた児童文学を世に送り出した石井は、著書「幼ものがたり」で、浦和で過ごした幼少時代を描いて高く評価されています。          
二人には、画家と文学者の違いを超え、共通して強く印象を受けた場所があります。都心への通勤通学途上に位置し、多くのさいたま市民にお馴染みの「赤羽」はその一つです。高田はその起伏ある地形に惹かれ、その夕暮れ時を独特の筆致と鮮やかな色調で表しました。この鮮やかな暮色は、この作品以降、多くの高田作品で見ることができます。石井も、浦和への帰り路、赤羽駅の高いプラットホームで見た空から、あのベストセラーとなった著書「ノンちゃん雲に乗る」の着想を得たと言います。  本展では、高田が描いた浦和近辺の風景画と石井の回想記とを照らし合わせ、二人に響き合う感性に迫ってみたいと思います。

こうした郷土の作家の作品を収集して紹介するのも地方美術館の大切な仕事。石井桃子は児童文学作家。高田誠は画家で、浦和は東京のベッドタウンなので、会社などから家路に就く際に途中の赤羽の夜景が見える、ということで赤羽の夜景を描いたという。実は私はたそがれ時の紫空の色が一日のうちで一番好きなので、かなり好きな雰囲気。「山村の秋」の燃えるような赤い山の色も良かったなあ。
資料室ではビデオが見られる端末があって、いくつかあるテーマの中に「ギルバード&ジョージ」のもあってちょっと見たかったが時間がないのでやめる。

埼玉近代美術館http://www.saitama-j.or.jp/~momas/へ向かう。それにしても浦和はいい街だなあ。空も広い。適度に古い建物も残ってるし、便利な店もいっぱいありそう。上野へもすぐ着くし。職場が上野駅前とかなら住んでみてもいいかもとか思った。道端でいろいろ面白いものを見つけた。カメラつき携帯電話を持ってりゃいっぱい撮ったのになあ。
それにしても道すがら、図書館・埼玉会館・県庁・裁判所・警察署・消防署・市役所・NHK・テレビさいたまとかがあったけど、一箇所に集中しすぎじゃないの?http://map.yahoo.co.jp/pl?nl=35.51.9.546&el=139.39.5.182&la=1&sc=3&skey=%BA%EB%B6%CC%B8%A9%C4%A3&CE.x=197&CE.y=106
通りかかった埼玉文書館http://www.pref.saitama.jp/A20/BA18/tenji.htmlに寄るが予想通り別に面白くはなかった。でも国立公文書館の展示よりはイイと思う。あと途中のゲーム屋がやけに質・量ともに充実した品揃え。なんとなく手塚治虫ヴィネット火の鳥http://www.animate.co.jp/animate/topics/cf/31/を280円で買う。

美術館着。おお、カッコいいデザイン(建物が)! 結論から言うとこの美術館の建物自体がこの美術館で私が一番気に入った作品だった。http://www.kisho.co.jp/WorksAndProjects/Works/saitama/index-j.html http://f1.aaacafe.ne.jp/~uratti/kisyo/saitamamu.htm(この写真だと私がカッコいいと思った姿とやや違うように見えるけど) 中の人に聞いたら解説とかは特にないという。3階の資料室に行ったらわかるかも、と言われたので後で行ったところ、黒川紀章という人の設計とのこと。なんか名前は見た記憶があるな。今度チェックしてみよう。http://www.kisho.co.jp/
このページhttp://f1.aaacafe.ne.jp/~uratti/kisyo/kisyoframe.htm
を見ると、私が見たことあるのはソニータワー大阪ぐらいかなあ。たしか大阪で人に会ったときに待ち合わせ場所に指定された気がする。
埼玉近代美術館の巨大な柱が一本斜めに窓ガラスから飛び出てて、そこもケンチクっぽくてカッコいいと思ったら、それは紀章の作品じゃなくて田中米吉「ドッキング(表面)Nol86-1985」だった。

さて、館内。まずロッカーにコートを入れようとすると、ロッカーの中で(美術館のロッカーはドアが半透明なのだ)無数のデジタル数字がカウントしてる! カウンタといえばあの人だな。名前覚えてないけど前に東京都現代美術館http://www.mot-art-museum.jp/ex/stan_10.htm森美術館ハピネスと2回見ている(後で調べたら宮島達男だった)。一瞬時限爆弾を連想させるこのロケーションは。(笑)
常設展を見る。200円。安い。数は多くないが、質はなかなかのもの。

常設展4期-2004年1月27日(火)〜4月18日(日)
「西洋の美術ー近代の絵画と彫刻」
「日本的油絵を求めてー斎藤与里
「夜ー詩情と幻想」
池田満寿夫の版画」
と き: 2004年1/27(火)〜4/18(日)
■内容と主な出品作家
「西洋の美術ー近代の絵画と彫刻」
モネ、ピカソロダン、マイヨールなど代表的な作品を紹介します。
「日本的油絵を求めてー斎藤与里
本県加須市出身の画家・斎藤与里の人と芸術を紹介します。

「夜ー詩情と幻想」
(展示替有)
芸術家の想像力を刺激してやまない「夜」をテーマに様々なジャンルの作品を紹介します。

池田満寿夫の版画」
1950年代末から60年代前半の銅版画を中心に、池田満寿夫の世界を紹介します。

最初はルノワール、モネ、ピサロかぁ。やっぱり印象派は日本では人気あるのだなあ。印象派が特に好きでもない私だったが、ピサロの「エラニーの牛を追う娘」(1884)はけっこう気に入った。
ルオー、ドニ、キスリングは実際には以前にも見たとは思うのだが、意識してみるのは初めて。
斎藤与里という人の絵がいくつかあったのだが、戦前と戦後で作風がぜんぜん違う。なんかあったのか、たまたまなのか。
靉嘔(あいおう)とか瑛九(えいきゅう)とか変な名前の画家がいるなあ。この前に何度か見た靉光あいみつ)と関係はあるのか? と思って靉嘔の解説カードを見ると、「1953年東京教育大学芸術学科在学中に瑛九の主催する〈デモクラート美術家協会〉に参加。」って書いてあるな。しかし靉光と靉嘔の関係は謎。googleで検索したら特に記述がないので、たまたま似てるだけなのか??
一番奥にはポール・デルヴォーの「森」(1948)という夜の絵がかけられていて、わざわざ雰囲気を出すために薄い黒い幕までかけてあった。草間彌生も数枚あった。人気あるんだなあ。私は苦手だけど。
というあたりで閉館時間まであと1時間弱。「富岡鉄斎展−あるコレクターが見た画業七十年−」は見る時間ないな。もともと900円払ってまで見たいとは思ってなかったので、その場の気分で決めようと思っていたのだが。
無料で見られるコーナーには池田満寿夫という人のヴィナスシリーズがいっぱいあった。なんかオトナの小説の挿絵みたいだと思った。
彫刻もけっこうあったけど、彫刻はまだ作風の違いがよくわからんなあ。さすがにジャコメッティとかならわかるけど。アリスティド・マイヨールとエミリオ・グレコも同じように見えるし。というか、公園とか駅前にあって誰も注意を払わない景色としての彫刻と同じように、特に印象を受けないことが多い。
ジャコモ・マンズー「枢機卿」は、マントと帽子から顔を出してるだけの三角形だし、顔もデスマスクみたいでインパクトあったけど。船越保武「ダミアン神父像」は、この前見た朝倉文夫の「墓守」に印象としては似てるかな。
地下には3つギャラリーがあって、そこではそれぞれ個展をやっていた。INAXギャラリーみたいな感じ。ひとつは美大出の若手芸術家の立体造形物だったのだが、特に私の好みではなかった。メロンとタワーが好きみたい。
真ん中はPACフォト茜クラブ。受付にいた人々の様子からするに、聾唖者の団体のようだ。どの写真も素晴らしい。変に気取っていないし、かといって素人くさくもない(と、私には見える)。聾唖者ゆえに視覚的センスが鋭いのだろうか、とか言うと失礼かな。時間があればもっとゆっくり見たのに。
一番奥は「第25回野美展」。埼玉県の画家・造形家のグループのようだ。定年後の趣味としての絵画なのかとも思ったが、それにしてはどれもレベルが高い(ように私には見える)。聞けば、メンバーは結成した頃は若かったが、いまはもう皆五十代ぐらい、とのこと。やはりずっと絵を描いている人たちなのだな。これも時間があればもっとゆっくり見たかった。
やはり午後8時までやってるうらわ美術館に先に行けばよかった。午前中から行けば大丈夫だろう、と高をくくったのが誤りであった。
帰りはラーメンでも食って行こうと思い、googleで検索したらhttp://homepage2.nifty.com/kaki-urawa/chinese.htmというページがヒット。ラーメン250円の娘妹という店に行ったら休業。その先の自然洞に行く。ラーメン280円だったが安いのでみそラーメン380円+チャーシュー100円を注文。もやしも入ってないのがちょっと悲しい。ウマい。でもチャーシューはなくてよかったな。しかしこれでこの値段というのはすごい。東京のラーメン屋がいかにぼったくってる(あるいはショバ代が高すぎ)なのかよくわかる。高校の通学路のようで、続々と下校中の男子高校生グループがやってきて帰る頃には店の外に行列ができていた。
赤羽で乗り換えると、赤羽駅構内の吉野家(があったのか)に、30人ぐらい並んでる! しかも独身男性だけじゃなくて若い女性や年配の人も! 今日で牛丼食べ収めらしいからなあ。そこまでして吉牛食べたいのか、と私を含めて通行人は驚きを隠しきれない様子。
東武旭屋書店で立ち読み。白川静『常用字解』(平凡社2800円)が欲しかったが重いので今度買うことにする。……と、思ったらこんな話が。http://d.hatena.ne.jp/hakuriku/20040211http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/02/post_23.html

白川静「常用字解」を買いたいと思う人がいるなら、「漢字字源辞典」(山田勝美進藤英幸)と比べてみて欲しい。私が始皇帝なら、白川静の辞書を焚書とするだろう。

帰宅して銭湯に。銭湯に行くとほとんど毎回会って話をする地元の友禅師で画家の椿さんhttp://www.meikoukai.com/contents/town/36/36_4/index.html http://www.gotty.co.jp/kougei/newpage18.htmがいらしていたので、今日見てきたものの話をする。埼玉近代美術館の名を出した途端、黒川紀章の話に。やっぱしあそこはアレですよね! さすがに今日私が見てきた近代美術館の画家・彫刻家のことはほとんどよくご存じ。私が名前を覚えてなくても、だいたいこんなの、と説明すると名前を当ててくれて、解説してくださる。
斎藤与里の話をすると、与里は近くに住んでたらしい。googleで調べたら終の棲家は豊島区高松って書いてる。ほんとだ。隣町じゃん。