複製技術時代の芸術

大阪は梅田のサウナ&カプセルホテル大東洋http://www4.ocn.ne.jp/~koshigoe/kenko/ken/oosaka/dty.htmlで朝5時に起き、また風呂に入る。ネット予約すると500円の朝食券がもらえるので、それを使って550円のサンマ定食を食う。50円でこれが食べられるとは。ちなみに昨日はサンドイッチとおにぎりしか食べてなかったし、この日もそんな感じだったので、これが今回の旅行での一番のごちそうとなった。
梅田の高速バスターミナルへ。朝7時のバスで徳島県鳴門に向かう(3000円ぐらい)。堀井雄二の故郷であり、ポートピアの舞台にもなった淡路島にはじめて行ったわけだが、あっさり通過。9時に鳴門着。


本命は9時半開館なので、どう時間を潰そうかと思ったら、バスを降りてすぐの場所に大鳴門橋架橋記念館 エディhttp://www2.ocn.ne.jp/~eddy/というのがあって、地元のおじいちゃんが一生懸命客引きをやっているので、共通券を買って入ってみる。……まあ、予想通りの内容かな。館内自体は新しい感じだったけど、ネタがうず潮しかないしなあ。
せっかく来たので本物のうず潮を見たかったのだが、潮見表http://www.uzusio.com/shio.htmlによると、朝8時と午後3時なので、3時まで見れない。
15分ぐらい山道の階段を上って下って(もうちょっとなんとかならなかったのか)、本命の大塚国際美術館http://www.o-museum.or.jp/に到着。ここに来るためにわざわざ徳島まで来たのである。
ここは、西洋の複製名画が実物大でたくさんある美術館。というか、本物は一点もない。
数ヶ月前、テレビでちらっと見て興味を持ったのだ。検索したら、どうやらこの日らしい。
http://www.o-museum.or.jp/54.htm

大塚国際美術館 スペシャル番組テレビ放映のお知らせ

放送予定 2003年7月20日(日) 16時〜17時15分
放送局 テレビ東京系 6局ネット
テレビ東京テレビ大阪テレビ愛知テレビ北海道、テレビせとうち、TVQ九州
……
番組タイトル 「永遠美術館」
とよた真帆がめぐる イタリア「最後の晩餐」紀行
番組概要 女優のとよた真帆さんが、当館5周年記念企画の「最後の晩餐」修復後作品展示イベントを多方面からレポート。
当館内の展示風景はもちろん、滋賀県信楽町にある『大塚オーミ陶業株式会社』における美術陶板の制作風景、世界遺産であるイタリアの『サンタ・マリーア・デッレ・グラーツィエ修道院』現地での取材も交え、大塚国際美術館における修復前・後作品同時展示の意義に迫ります。

この番組の最後の部分を偶然見たんだった。全部【偽物】というところが逆に燃える! しかも「実物大」というのは、美術館ならではでよいではないか。しかも行ったら、ほとんどのものは額縁まで本物を再現してあるという。えらい。
入場料が3150円と破格だが、本物の「名画」の特別展なら2000円ぐらいはけっこうあるし、一日楽しめるということなのでまあ別にいいかという感じ。
日曜だったが、ベラボーに広いのですいてる感じ。けっこう団体客が来ているので、それにくっついていけばルネサンスまでは解説が聞ける。なぜか近代以降の解説はやってないようだったが。


システィナ礼拝堂にあるミケランジェロ最後の審判』はこんなにでかかったのか! しかもあの『ET』の指のモデルになった神様がアダムを創ってるシーン、天井画なので見るのは首が疲れる。ま、大塚のは正面と天井の真ん中しか再現してなくて、実物は床以外全部絵で埋め尽くされているわけだが。http://mv.vatican.va/2_IT/pages/CSN/CSN_Main.html今度行くまでに全部再現しておくように。
これが最大だが、全部で12個の環境展示があって、古代の教会とかちょっとしたホロデッキ気分。
床絵とかは、本当に床に敷いてあったりして、踏みまくれるのもなかなか。

ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』も思ったよりでかいのだなあ。この画像は修復前のもの。振り返ると修復後がかかっている。これはイエスに「おまいらの中から裏切り者が出まつYO!」と言われて12弟子がびびってるというシーンなのだが、修復前はイエスの口は閉じていたのだが、修復して見たら開いていて、まさにそのセリフを言った瞬間だったとわかった、とのこと。

写真を元にした陶板画なので、たま〜に接近して見ると写真だとバレるものもあるのだが、私は絵画鑑賞マニアではないので、ほとんどは特に気にならなかった(もちろん本物の質感があるわけではないが)。ただ、陶板の分割線がモロに入っている(上の画像は3枚の板で構成されているので、縦に2本線が入っているのがわかる)のがちょっと萎え。

ホルバインの『大使たち』の足元の変な物体が、斜めから見るとドクロに見えるだまし絵になってるのは有名だが、実際に実物大で試せるのはけっこう楽しい。
それにしても、古代から現代まで、それこそポンペイアレクサンドロス大王のモザイクからピカソゲルニカとかまで、全部で1070点余も展示されているので、最初は一生懸命鑑賞していても、ルネサンスあたりからさすがに疲れてくる。しかも名画ばかりなので(「名画」と聞いて一般の人が思い浮かべる西洋絵画は、現代以外ならほぼ全部あるといって過言ではない)、一つ一つが強すぎ。もうおなかいっぱい。CDもベスト盤ばかり聞いてると疲れていかんというが、そんな感じ。
もう近代以降になると時間もないので、鑑賞というか「ふーん、こんな大きさなのか」と立ち止まらずに見てしまう。

ゴッホの名画群もこんなふうにまとめて展示してあるし、One of themにすぎないのでぜんぜんありがたみがない。というかどうでもよくなってくる。
「今日は中世だけ」とかいう感じで見るのがちょうどいいと思う(入場料3000円だからそういう贅沢はできないが)。1000点以上は多すぎる。
徳島空港発の東京行きの飛行機は17時発で、しかもバスが1時間に1本しかないから、15時20分のバスに乗らないと帰れない。そこで14時50分まで約5時間いたのだが、ぜんぜん見尽くせなかった。時間が足りない。でも鑑賞の集中力も限界。
この美術館がなぜ「大塚」というかというと、大塚製薬の社長が出身地の徳島に作ったから。美術館内でもカロリーメイトとかジャワティーとか売ってるし。帰りにミュージアムショップで2000円ほどの図録『西洋絵画300選』(写真は本物のを使用)を買う。他に大塚社長の著書『金儲けの秘訣』(身も蓋もないタイトルだな)5万2500円http://www.otsuka.co.jp/book/index.htmlとかも売ってて笑えた。
山道を駆け、渦の道http://www.city.naruto.tokushima.jp/kanko/play/uzu.htmに行ったが、うず潮らしいうず潮は見られず。またバス停まで山道を駆け、なんとかバスに間に合う。
空港まで30分ぐらいなのに、バス代がやけに高かった。途中、大塚製薬の倉庫があって、壁面全体にボンカレージャワティー、ポカリスエットカロリーメイトの広告看板になってて、さっきの美術館のミケランジェロの壁画と妙に通ずるものを感じて笑った。

二階建ての小さな空港だが、入り口に等身大阿波踊り像があるのがなんか妙な感じ。大阪/神戸へのバス代+新幹線代よりも、徳島空港からの飛行機代の方がむしろ安いのだ。
というわけで20時頃には自宅に着く。
四国エリアに足を踏み入れたのは2度目。前回は広島の帰りに瀬戸大橋をなるべくお金をかけずに見ようと、岡山から電車で瀬戸大橋を渡ってそのまま改札を通らずにホームで待って、折り返してきたさっきと同じ電車に乗って本州に戻ってきたりとかアホなことをしたのだが、今回も四国の端っこに行っただけだな。