三度目の正直

コミケ3日目。
片道1時間弱で行けるとはいえ、人ごみは苦手なので、さすがに3日連続で行くのもなあ、と思い、起きてから気分で行くかどうか決めようと思っていた。
1時間ほど寝過ごす。雨がほとんど降ってなかったので、行くことをする。
前2日は12頃着だったのだが、13時頃会場着。これが結果として失敗だったのだが……。

今日は評論の日。
カタログには岡田斗司夫氏のマンガ夜話本がアナウンスされていたが、ホームページでの告知がないので、落ちたものと判断。実際そうだったようだが。

中里一氏の『百合史・百合論』(800円)というのがあったので、買うかどうか悩む。最近『あずまんが大王』『マリア様がみてる』など、“百合もの”ブームという話なので、どういうことなのか気になっていたのだ。結局買う。書店で並んでたら立ち読みで済ませてしまうところだが。コミケだとつい財布のヒモが緩む。

評論本を眺めていたら、急に売り子の方から声をかけられてビビる。見ると、私もまぜてもらっているマンガの研究会で、私と世代も近くゲーム話もできる池川氏だった。ちなみに私が知る唯一の『スーパーマリオ』のポール飛び越しを成功した人である。私も一度しか成功したことがない。
大学時代からのマンガ批評サークルだそうだ。『ゲームはマンガを駆逐するか』という小冊子を200円で買ったが、1996年の夏コミの新刊だったようだ。7年前!

オタク論の本を何冊かレビューしている『ロジカルプロダクト 特集オタク論って何だ?』http://www.senzui.com/という本を買う。(600〜1,000円ぐらいだったと思うが失念)1年前の新刊。

今回最大の収穫だったのは町田暁雄氏の『刑事コロンボ読本』。
30年前の本放送のときにテレビのスピーカーにテープレコーダーを近づけて録音し、以来、海外のオークションで脚本の初稿などを手に入れるなど、研究を続けているという氏の力作。
初期全45話の内容と、その詳細な脚注が凄い。伏線の解説、ミステリとしての妥当性の考察、そして元ネタとなった推理小説の指摘や、初稿の脚本との異同などなど。3,000円と高価だったのだが、それだけの価値はあると判断。
それはまさにライフワークの結晶以外の何物でもない。一昨日書いた、私が理想の同人誌はこういうものだ。
http://www.clapstick.com/columbo/dokuhon.html 神保町やこのページでも売っているそうなので、コロンボファンの方はぜひ。
私は最初のシリーズはちゃんと見たことがないのだが、タイミングよくスーパーチャンネルで来週から全話放映が始まるので、放映を見てはこの本で勉強したいと思う。

私はその暑苦しい絵柄が苦手で正直あまり好きではないプロのマンガ家の島本和彦http://urasima.lala.or.jp/sima/だが、『燃えよペン』『吼えろペン』は例外。その同人誌バージョンの新刊『燃えよペン マンガ力指南編6』を買うために並ぶ。
内容は、島本の尊敬する石森章太郎の『マンガ家入門』を意識しているのだろうが、島本版『サルでも描けるマンガ教室』にほかならない。つまり、鋭いマンガ表現批評を高レベルでギャグとして展開しているのである。
前回『5』は買っていたのだが、今年は1巻から再販するとのことで、楽しみだったのだが、私が行ったときには新刊以外売り切れで残念。1時間寝過ごしたのが祟ったようだ。
ただ、1冊1,000円と、商業コミックスに比べると破格に高いので、財布へのダメージという点では助かったが。また手に入れる機会があるだろう。

と、最終日はけっこう金を使ってしまったが、一番収穫があった。来てよかった。