愛すべき娘達

畏友伊藤悠(←韻)氏の日記より、ロリ嗜好に関する一席。
http://d.hatena.ne.jp/ityou/20040531

そしてさらに話をややこしく困ったものにすることに、われわれの目がわれわれが本来すでに得ているはずの幻の嫁婿を探し求めているのと同じ理屈により、われわれの目はわれわれが本来すでに得ているはずの幻の娘息子をも探し求めている。
おそらくわれわれの肉体は、このふたつの欲求不満をうまく分離できておらず、厄介なことになる。つまり若年個体を見たとき、それを保護育成するか、押し倒そうとするか、ルーチンが同時発生してバグったりする。
 さて、コミケとその中にあふれるロリショタ同人誌というのは、いま述べた病因から発生する症状である。

娘(daughter)として可愛らしいという話と、異性として押し倒したいという話の混乱に関する問題。
まず前提として、私は基本的にロリではない! といちおう主張しておく。
たとえばルノワールの『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』http://images.google.co.jp/images?q=Irene%20Cahen&hl=ja&lr=&ie=UTF-8&c2coff=1&sa=N&tab=wiを、可愛らしいなあとは思うけど、押し倒したいというわけではない。
これまで私は、つまりこれを「イレーヌたん萌え」だと解釈していたのだが、萌え感情には「押し倒したい」というのがなければならないとも聞く。この辺はどうなのだろう。萌え論者の熱い論争を待ちたいところである。

大学院にいた頃、近くにロリの学部生がいたので、聞いてみたことがある。むしろ彼は、「押し倒したい」という感情を伴わないで少女・幼女を可愛がれることの方が不思議だと言った。
私は驚いて、「じゃあ、幼稚園児も押し倒したいと思うわけ?」と聞くと、「その通りだ」と。
「赤ちゃんは可愛いと思うよね?」と確認すると、「うん」。「じゃあ、赤ちゃんも押し倒したいと思うわけ?」「いや、それはない」。
彼の中では、赤ちゃんは押し倒す対象ではないが、幼稚園児は押し倒す対象であるらしい。

光源氏は若紫を押し倒したし、別に新しい嗜好ではないのかもしれない。
西洋のロリの代名詞、ルイス・キャロルは少女を押し倒したいと思っていたのかどうか。

重要なのは現実の少年少女にコストを払わせないことであり、それと、フィクションの少年少女をどうしたりこうしたりすることとの間には、同じ不幸から生じている現象なのでいっしょくたに見えるかもしれないが、しかしものすごく重大な差がある。根本が一緒だから大差ないとか、フィクションだからといういいわけに逃げているとか、そういうふうに考えるのはぬるい。そこは大切なのだ。
 指針としては、現実の少年少女およびその親御さんたちのいる現実レイヤー、および公共コミュニケーションレイヤーで、こそこそし、彼らに物理的に直接はもちろんのこと、視線や言説による接触でのプレッシャー/不安を与えないよう、品行方正に偽り、趣味を隠して、彼らにコストを払わせずに生きることである。
そしてTV放映されるアニメのフィクション世界のレイヤーでは、そこで隠喩的に行われる少年少女をああしたりこうしたり(現実の彼らや親御さんたちがお気づきない例のあれこれ)を意識的に楽しみ、それに罪悪感を感じなくていいし、さらに下の小さなアニメ同好会のコミュニティのレイヤーでは、談論活発に萌えその他披露してよい。そして最終的に心の奥底の自分ひとりのレイヤーでは、一点自分に恥ずる必要は無い。

「オタクだからこそ女の子をまもります」宣言http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Palette/1058/savegirls.htm(ずいぶん前の話だと思っていたが、3ヶ月前だったか)と同じような主張なのかな?

しかしながら、「品行方正に偽り、趣味を隠して、彼らにコストを払わせずに生きる」という、いわば隠れロリ推奨と、「罪悪感を感じなくていい」というのはなかなか両立しえないだろう。
いずれにせよ、性的嗜好というのはきわめて個人的な問題であるので、難しい。
実際に犯罪に走ってしまうのはきわめて少数であって、それらのために犯罪に走らないがその系統の嗜好をもつ者を結果として弾圧するのは逆効果のような気もする。
ただし、犯罪に走ってしまう場合、相手がもっとも抵抗力をもたない少女・幼女であることは留意せねばなるまい。
ここはひとつ、ロリ系フィクション作家の方には、ロリ嗜好者が現実の幼女には見向きもしたくなくなるほど、激萌えなロリフィクションの世界を展開していただき、「やっぱり幼女は二次元に限る」というムードにしてもらいたいものである。

6月17日追記
http://www.phoenix-c.or.jp/bluegale/15inm/15im_07.html