モリ美術館

急に美術館に行きたい病にかかったので、ついに近所で毎日前を通っていたのに入ったことがなかった熊谷守一美術館に行ってみることにする。徒歩1分。その1分間のうちに思い出したのだが、いまの住まいに引っ越してからまる2周年。2年目にしてようやくその中が明らかになるのだった。
昔は池袋西武・東武にも美術館があったらしいが、いまは豊島区で美術館というとこれぐらいしかない。博物館も、サンシャインの古代オリエント博物館と、光文社ビルにあるというミステリー文学資料館ぐらいしかない。(あと郷土資料館)

が、展示内容は正直言ってかなり物足りなかった。
熊谷守一の油絵26点 墨絵と書数点、小彫刻3点」だからね。
それでも、守一といえば猫。白猫の絵が一枚あったのは良かった。
あと、自画像でもあるという「夕暮れ」は◎。いや、goodという意味じゃなくて◎という図柄なのだ。なんとなく良かった。http://www.kumagaimori.jp/mkf.htm
「仏前」(朝の始まり)という幼い娘を亡くしたときに卵を供えた絵も良かった。
作家が住んでいた場所を美術館にしたというのでは、朝倉彫塑館がかなりよかったhttp://d.hatena.ne.jp/AYS/20031204のだが、こちらは決め手に欠ける。
5月28日〜6月13日の間、「熊谷守一美術館19周年展」と題して、所蔵していながら展示していなかったりするものだけでなく、他が所蔵している守一の絵も借りてきて展覧会をやるそうなので、入場料200円アップとはいえ、そのときが狙い目だと思いますよ。>これから行こうと思っている方

守一の娘で自身も画家・彫刻家の熊谷榧(カヤ)さんがいらして、ちょっとお話を伺えたのはよかった。
二階はその名も「ギャラリー榧」という貸し画廊になっている(こんな近所に画廊もあったとは)。榧さんは画廊の主人にふさわしく、マダムな感じだった。あとやっぱり芸術家らしく、ちょっとある種近寄りがたいオーラを発していた。
解説で守一のことを榧さんは「モリ」と呼んでいるのだが、聞いてみると生まれたときから父のことを直接呼ぶときも、三人称として表現するときも「モリ」と呼んでいたのだという。守一の家族や親しい知人はみんなそうで、守一の妻も夫を「モリ」と呼んでいたそうだ。へー。
展示されている守一の作品は小品ばかりだったためか、個人的には入口脇にかけてある榧さんの北海道の風景の絵が一番気に入った。
熊谷榧さんはいつも金曜と土曜の午後にいらっしゃるそうです。