時代を創るかけらでも

突然ですが最近単行本を買って読んでいるマンガ。
藤子不二雄Aまんが道』 藤子不二雄Aランド版。
内容は説明するまでもないだろうが、藤子Aを主人公にした藤子不二雄の自伝的マンガ。
私はダークな作品があまり好きではないので、A作品は必然的にあまり好きではないが、この作品は別格。小学生ぐらいのとき、藤子不二雄ランド初版を立ち読みして感動。東京に引っ越したら、たまたま最寄り駅のひとつが椎名町で、トキワ荘跡地まで歩いて行けることを知り、ちょうどランド版が(A作品だけだが)復刊が開始されたので発売されるたびに買い足して再読中。
いいエピソード多いなあ。

満賀道雄は、才野茂の思いやりが、うれしかった……。
才野茂は、わざとキャラクターの設定をすることを、満賀道雄にゆずってくれたのだ!
しかも、自分でやってみたがうまくいかないからひとつたのむ……と、満賀道雄の引き受けやすいようにいって……。
満賀道雄は、才野茂の心づかいにこたえる意味でも、最高のキャラクター設定をしなければ……と、思った!
(9巻32ページ)

とか田口トモロヲですかっ。


みなもと太郎風雲児たち』(リイド社
関ヶ原の戦いをプロローグに江戸時代から幕末へ至る痛快大歴史大河浪漫ギャグ。
私は世界史は昔から好きだったのだが、日本史はぜんぜん興味がなかったので、恥ずかしながら最近までスルーしていた。
ところが読み始めてみるとものすごく面白い。私の日本史アレルギーがたちどころに治ってしまった。そのギャグでテンポよく読め、しかも感動してしまうという氏の筆致には脱帽。
始皇帝焚書坑儒みたいなもんだと思って名前だけ適当に暗記してた蛮社の獄にはあんなにドラマがあったのか。シーボルトはただの外国人だと思ってた。ジョン万次郎はただの漂流者だと思ってた。
大河ドラマを見なかった私が『新選組!』を見ているのは単に三谷幸喜ファンだからだけではない。『風雲児たち』の影響大。

NHKラジオ「学びたいは終わらない」2003年11月6日のテープ起こしページから引用。
http://www.fuunji.net/kawaraban/NHK.html

みなもと:私自身も歴史を知らなかったから、自分で勉強しながら、なんでもかんでも歴史のことに詳しくて、で、マンガに描いてやろうという姿勢ではまったくないんですよ。
歴史のことはさっきも言いましたとおり、まさか江戸時代がこんなにいろいろあるとは思わなかったように、知らないから調べる、調べると面白い、面白いからその気持ちが新鮮なうちに作品にして、自分がどれほどその、このエピソードで、受けた印象がまだ冷めないうちにね、読者の方にお召し上がりいただくというのが、一番理想的だなという気はいたします。
ですから、自分のほうでいろんなことを知っていて、それを悪くひねくり回して、こうやってその人を感動させてやろうとか、そういう思い上がった気持ちはやっぱり持たないほうが良いんだな、とは感じました。自分が感動したことを、どれだけ読者の方に伝えることができるかということのほうが大事なんだろうなと思いました。


この2タイトルと、あとは福本伸行最強伝説黒沢』あたりが最近読んでで魂を揺さぶられるマンガかな。

ところで、放映当時評判が最悪だった三谷幸喜作品『竜馬におまかせ!』は、『新選組!』に便乗して再放送したりビデオ化されたりしないんでしょうか。私はダウンタウンは大嫌いなんですが、この作品は大好きだったので、また改めて見たいです。