刺客列伝

ワイヤーアクション好きの弟が映画『HERO』を見たがってる。母も見たいらしい。ということで、3人で札幌ファクトリーのシネコンに行く。夜の1200円の回で。
私はCMで空を飛びながら珍妙なチャンバラをしているシーンが印象に残っていたので、『少林サッカー』みたいな大げさなアクションで笑う映画だと思っていたら、ぜんぜん違ってびっくり。

いや確かにアクションはオーゲサなのだが、物語は中国の故事っぽい雰囲気抜群で、よかった(マンガ『東周英雄伝』とかが好きな私)。信念のために簡単に命を捨てるとことか。秦王の法家思想とか。悟って平和主義者になっちゃう奴だけはちょっと釈然としないが。
アクションシーンの映像美はかなりのもの。ちょっと1シーンが同じような動きが続いてで間延びした感じもしないでもないが、アクションシーンがこれだけ多いこと自体すごいらしい。
あと、さすがに水の上を走ってすごいジャンプをするのはどうかと思うけど(いや、あれは証言ですらなく単なる想像の映像なのだけど)。

証言内容を視覚化して、それがどんどん更新されていくというのは、『羅生門』とか『戦火の勇気』とか最近やってるドラマの『CSI』などでもお馴染みの手法なのだが、「果たして真相は!?」というミステリ的な使い方をしているわけではない。
そうではなくて、その手法で敵・味方という関係性を解体することに使って、主要登場人物の総当たり戦的バトルに使う。このアイデアはなかなか面白い。

ぜんぜん期待してなかっただけに、かなり満足。これの監督や役者の他の作品も見てみたいところ。