日本のゲームはダメ。洋ゲーマンセー!

ゲーム批評編集長の小野さんの日記。
http://members.jcom.home.ne.jp/kono3478/normal/word/d-1.html

7月24日(木)

 最近何人かの人と洋ゲーについて話す機会があって、いろいろ感じたことを雑感で。

 「GTA3」の国内販売権をカプコンが買って、さて国内で何本売れるかが一部で注目されてる昨今、僕は世界で800万本といえども国内ではマックス10万本というところだと思います。

みなさんマックス10万って言ってますね。
最近の洋ゲーで一番売れた『メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦』がそんなもんだったから、そこからの推測ってのもあるかも。
ただ『メダル』が実質広告料ゼロだった(店頭ポスターだけだったかな)のと、雑誌とかでも色々煽ってるので、うまくプロモーション効果が出ればもう少し行くかも。
だけどカプコンが噂される莫大な契約料を回収できるとはちょっと思えない。どのぐらいの契約料か知らないけど。

でもって「世界の1%強しか売れない日本市場って何?」みたいな話が出てくるわけですが、この内外比は今に始まったことではなくて、たとえば世界で800万本という数字も、「ゴールデンアイ007」が世界で760万本強、でも国内では・・・という風だったりするわけです。少なくとも800万本という数字は確かに無茶無茶多いんですが、でも前代未聞というわけじゃない。

ゴールデンアイ』ってそんなに売れたんですか。知らなかった。1年ぐらい前から中古屋で探し回ってるんですが、千円以下とかだとぜんぜん見かけません。どこにでも転がってるイメージがあったんですが。

 じゃあなんで「GTA3」が注目されるのかというと、少なくとも僕にとっては、一つにはゲームとしての作り込みが良くできている=洋ゲーってすごい、または洋ゲーって結構やるじゃん、みたいな意外性(その反語で和ゲー、または和ゲーテイストなんてことばもある=これにはロードオブザリングやエンターザマトリックスなど、映画ゲームに見られるプロデュースの巧みさもあり)。でもってもう一つは、和ゲー洋ゲー問わず国内市場でさっぱり売れない=北米市場は景気がよくていいなあという妬ましさと、国産ゲームは海外で通用しないんじゃないかという漠然とした不安感がベースにあったりする。

 でもってさらに論考を進めると、1についてはアタリショックの渦中にいた人々ではなく、マリオやゼルダを遊んだ世代が開発側に回ってきたことと、彼らが和ゲーの面白さとは何かを徹底的に研究して、まねてきたのではなないかということ(レア社など。この辺さらに検証の余地アリ=この仮説の信憑性、ついでに和ゲー&ゲームの面白さとは何か)。2については、国内市場に比べて3−4年遅れてスタートした北米のファミコンバブルゆえ、今が97年の国内PSバブルなのではないか(人気ジャンルがFPSとRTSとスポーツゲームと映画ゲームに集中)=いつかは飽きられるのではないか・・・。

この「ファミコン世代が作り手側にまわった」というキーワード、最近よく耳にするんですが、
海外ゲームを誉めるときには、「NESで遊んで育だった世代が、日本のゲームの丁寧な作り方を身に付けたため、最近の欧米のゲームは面白い」と誉める根拠になる一方、
日本では「ファミコンで育った世代の開発者は、新しいゲームを発想できないため、いまの日本のゲームはダメになってる」とけなす根拠になってる。
たしかにそういう部分はあると思うんだけど、それだけをいまのゲーム不況の説明にするには、どうも釈然としないものを感じる。
単に自分がファミコン世代で、自分の世代が悪く言われてるのが気に食わないだけかもしれないけど。


まあ、宮本茂氏なんかは最近の欧米のゲームは完成度は高くなったが似たようなものばかりでつまらない、という旨の発言をしていて、私もおおむね同感なんだけれども。

あと、先日書いたように、欧米でFPSRTSが流行ってるのは国民性もあるだろうけど、単にPCゲームのウェイトが大きいために、PCのインターフェイスで操作するために開発されたゲームであるFPSRTSが人気があり、さらにPCゲームだからエンジン売りでクローンができてるから数も多くなる、ってところが大きいのだと思う。
スポーツゲームはどうなんだろうなあ。欧米でスポーツゲームを遊んでる層というのは、所得とか教育水準とかで偏りはないのかなあ。どこかにデータないかな?

 では北米市場が天井を迎える前にすることは、FPSやRTS、映画ゲームではない、新しいゲームの面白さを作り出すこと、しかないでしょう。だいたいFPSやRTS、あとスポーツゲームメジャーリーグ題材とか)を日本人が作ってアメリカ人以上の物ができるとは思えない。真似ではなく新しい物を作り出して、追いつくのではなく一足飛びに追い越すことが必要なのではないかしらん。なんとなくSFCの頃、マリオやゼルダもいいけれど、でもシムシティポピュラスって凄い、なんて言ってたころと今の洋ゲーブームは似ている気がする。そっからマリオ64が生まれてきたわけで。じゃあその「新しさ」って何だろう。なんとなく「もう、こんなのゲームとは呼べない」なんて物から生まれてくる気がする。バウリンガルは良い線行ってるかも。個人的な印象ですが。

『電撃ゲームス』で洋ゲー礼賛コラムを共同執筆している(今月はお休み)私がいうのもなんだけど、洋ゲーブームなんてものはきてないように思える。
単に最近日本製の斬新なゲームがそれほど出てこないように見えるので、欧米のゲームをかつぎあげてるだけじゃないのか。
『GTA3』にしても、欧米では続編『vice city』や似たようなゲーム(『Getaway』とか)が出ていて、もう特に斬新というわけでもない。

メイド・イン・ワリオ』とか、『THE 地球防衛軍』みがいなある意味で斬新なゲームも出ているんだけれども、注目度が低すぎる気がする。
もっとこういういまいち話題にならない国内の名作をもっと評価していくべきだと思うんだが。

あれれ、なんか最初書こうと思ってたのとぜんぜん違うオチに。

参考:宮本茂氏の発言
http://www.google.co.jp/search?q=cache:BbZJEBGSEH8J:gameonline.jp/news/2003/07/07003.html

    • では、宮本さんがOKを出される基準とは?

宮本氏: あのね、今年のE3でも思ったんやけど・・・。昔はね、僕も日本のゲームショウは行ってたんですよ。20年前からず〜っと同じなんですが、ゲーム業界ってのはそういう時になぜか前と同じものを出すんですよ。前回やった時と同じモノを出すのが普通。アメリカの会社はゲーム作りは確かにうまくなったけど、僕には去年と同じに見える。こういうのはボツですね。一昔のアメリカはゲームの出来は悪いけど、色んな物を作ってるという点で面白かったのにね。