literacy

遅くなりましたがfs_gohhoさんとのやりとりの続き。
id:fs_gohho:20040306#1078574014

■ [文章] 遅くなってすいません 20:53
ヤバイほど長文になったけど纏めきれなかったので、とりあえず僕も気になったことをひとつだけ。
id:AYSさんhttp://d.hatena.ne.jp/AYS/20040303#p1より

上で引用したfs_gohhoさんの「物陰から意味深な沈黙で探偵を眺める人物には、「もしかしたら犯人かも」コードという作者の意図」というのは、つまり露骨な伏線あるいはミスディレクションの例ですよね。
たしかに何らかの意図を持っての表現であることは明らかです。
「(テーマやメッセージを読み解くといったレベルではなく)そのレベルのケースでいえば、問題はないかと思うのですが」というのはたしかに。おっしゃるように、「そのレベル」というのは、それ自身は批評として低いレベルというか、瑣末なことですよね。
それがもっと大きなことを語るうえでの材料のひとつとなるならばよいが、それ自体をテーマとするのはたいていたいしたことじゃない。

作者・読者間の手続きレベル(と表現するのがベストっぽいと思いついた)だけを話題にしても、「たいしたことじゃない」なんてことはなく、けっこう楽しめると思うのです。

うーむ、やはり。書くときに「こう書くとこの点をツッコまれるかなあ」と思ったとこをツッコまれてしまいました。
たぶんfs_gohhoさんのお考えとそう違ってないのではないかと思うのですが、私が言いたいのは、「作者の意図を読む」というのを批評のゴールにしちゃうとつまんない(言い換えるとたいしたことない結論しか出ない)、ということです。*1
作者の表現意図を見抜いた上で、「だから何」ということを言わねばならない。もうひとひねりが必要。意図を見抜くだけだと、「作者、上手いね」「うん。上手い」で終わってしまうことが多い(それが言いたいだけならいいけど)。
あるいは、作者の意図を見抜きまくっていっぱい並べるという手法もありますが。
「あのシーンであの俳優がチラっと映るのは、あの人が犯人なんじゃないかと観客に思わせるための演出だよね」
「そうだね」
「あ、俺気づかなかった」
で、終わっちゃう。気づいた人=合格 気づかなかった人=もうすこしがんばりましょう というだけの話なる。
その要素をもってその作品を批評的に語るには、その「気づき」を材料にもう一段階段を上らないといけない。

「作者の意図」のみを追及することは、「作者についての批評」を書くことにしかならない。「作品についての批評」を書きたいなら、作者の意図の追及だけでは不十分ではなかろうか。

(次の日付に続く)

*1:だったと思うんですが日が経ったのでいまいち自信がなかったりも