宮本茂制作の「エキサイトバイク」は「スーパーマリオ」の原型?


ところで、前回のエントリで話題にしたので思い出したが、
エキサイトバイク」(1984年11月30日発売)を開発したのは、「マリオ」「ゼルダ」の宮本茂さんだったはず。
ファミコンミニ エキサイトバイクファミコンミニ スーパーマリオブラザーズファミコンミニ ゼルダの伝説1

エキサイトバイク」は、右に走っていくモトクロスバイクレースゲームだ。
(最近Wiiで出た「エキサイトトラック」もこの「エキサイトバイク」の流れをくんでいるはず)


参考:↓スーパープレイ動画


ジャンプ中に右ボタンを押すと前傾姿勢になって飛距離が伸びて、左ボタンを押すとウィリーのような体勢になって、飛距離が短くなる。
この、「前傾姿勢をとると飛距離が伸びる」というのは、スキージャンプの感覚を応用したと宮本茂さんがどこかで言っていたような気がする。

ジャンプしてから空中で飛距離を変更できるという、物理を無視した操作感覚は、「スーパーマリオブラザーズ」(1985年9月13日発売)と同じ。

そういえば、どちらのゲームも、赤いプレイヤーキャラがひたすら右に進んでいく横スクロールゲームで、アスレチック。


こう考えてみると、ゲームデザイン的には、「エキサイトバイク」は、「スーパーマリオ」の原型と言えるんじゃないだろうか。


ナムコミュージアム Vol.4 PlayStation the Best
宮本茂さんは、岩谷徹さんの「パックランド」(1984年8月稼動) の影響を受けて「スーパーマリオ」を作ったと語っていたと思うが、案外「パックランド」と同時期に開発されていたと思われる「エキサイトバイク」も、「スーパーマリオ」のルーツのひとつだだといえるんじゃないだろうか。


あと、敵の倒し方も、

と、接触時の位置によって勝敗が決まるルールというのも似ていなくもない。(ちょっとこれはこじつけかも)


案外、「スーパーマリオ」の、Bダッシュの爽快感の起源は、「エキサイトバイク」のBボタン走行なのかも。

エキサイトバイク」の、オーバーヒートを回避できてフルスロットルで走り続けられる若葉マークは、「スーパーマリオ」でいえばスターか。
……と、妄想は続くのであった。

Wii【メーカー生産終了】ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス - Wiiエキサイト トラック - WiiNew スーパーマリオブラザーズ

ドッツ ドッツコレクションニンテンドーバージョン BOX

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It’s The NINTENDO

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ゲーム・オーバー―任天堂帝国を築いた男たち

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江古田で、無料のゲームシナリオ実習が開始!

今日は、社長の重馬敬さんのご好意で、シナリオ工房月光
http://www.gekko.co.jp/
の事務所の新年会にまぜていただきました。

重馬さん、ごちそうさまでした。

シナリオ工房月光は、「アイドルマスター」「テイルズ オブ デスティニー2」「ルナ2 エターナルブルー」「侍道2」などのゲームのほか、
ビューティフルジョー」「おとぎ銃士 赤ずきん」などのアニメのシナリオも手がけているシナリオ集団。

新年会には、RGN#4でご講演いただいた前田圭士さんもいらして、月光のシナリオライターのみなさんに、ゲームやアニメのシナリオについてお話を伺いました。
やっぱりプロのみなさんのお話を聞くと、勉強&刺激になります。

「24」「LOST」「プリズンブレイク」「デッドゾーン」「スタートレックヴォイジャー」など、海外ドラマ話もいろいろできたのがよかったなあ。


ここからが本題。

重馬さんは、かねてからおっしゃっていた、無料のゲームシナリオワークショップを開かれるとのこと!
実習形式で、ゲームシナリオの創り方が学べ、見所があると認められれば、重馬さんのところのスタッフになれるチャンス!

詳しくは、重馬さんのブログを↓
重馬敬、月下の一群 - ゲームシナリオのワークショップ開催
http://d.hatena.ne.jp/SHIGEMA/20070108

ゲームシナリオのワークショップを開催しようと思います。募集対象は、ゲームのシナリオ作成を仕事にしたい人。
3〜5人ぐらいのライター志望の人たちに集まってもらって、お仕事レベルのゲームシナリオを組み立てていってもらおうと考えています。

ゲームシナリオ・ワークショップの全体ディレクションは、うちの現役シナリオディレクターが担当。完全な実戦レベルのシナリオに挑戦してもらいます。
内容は、現時点で2種類を想定しています。

1点目は、ディレクターの指示の下、単純にゲームシナリオを作成してみること。

この場合の基本的なフォーマットは、うちで作成してきたマルチタイプのシナリオに準拠した形式を予定しています。これは、すでに商業的な洗礼をうけていますので、クリアできれば、商業的なゲームシナリオ作成のための最低限の能力を獲得できたといっていいと思います。

2点目は、シナリオを中心にしたゲームの企画立案と、そのサンプルの作成。
こちらに関しては、ちょっと荷が勝ちすぎるきらいがあるので、ディレクターの指導はもとより、現在の月光メンバーおよび他の参加者とチームを組んで、一緒に作業をしてもらうことになると思います。

前者は純粋にゲームシナリオの基礎力をつけることを主眼にしています。
後者はそれに加えて、発想力と応用力、加えて実際に仕事を獲得してしまおう
という算段です。

必ずしも、そう簡単にいくというわけでもないと思いますが。


具体的な作業の流れとしては、週に1回の全体ミーティングと講義、講評になると思います。大体、3ヶ月ぐらいをメド(1点目だけであれば1ヶ月程度)に完成形まで持っていくという形でしょうか。

参加料は無料。ただし、その分こちらの要求基準も高くなります。お客さま気分での参加はお断りすることになるでしょう。

うちとしては、仕事上のパートナーを育てるための講座という意識があります。

場所は、江古田。


ゲームシナリオライティングはかねてからやってみたいと思っていたので、私もエントリーしたいですね。

ただ、やるからにはそれ相応の時間を投下しなければならないわけで、生活費を稼がねばニントモカントモ。
私は現在、

・仕事&研究用にゲームをプレイする
・英語の勉強をする(あまりorまったく収入にならない「翻訳をする」含む)
・生活費を稼ぐためにバイトする

というのに、けっこう時間を食われているのが現状。

研究も、学会の年会費を払って、学会参加費を払ってノーギャラでひっしこいて書いたのを発表……という感じなので、お金と時間がかかる割に、決まったリターンがない。

もっと効率よく稼げる方法を生み出さないと、大家さんにアパートを追い出されてしまいます。
「儲からないの螺旋」を抜け出さないと、明日はないぞ!

ゲームメイキング本の勧め〜ゲームクリエイター以外も注目!

ゲームメイキングの本というのは、プログラムをやる人向けの本に見えても、実はゲーム論者が読んでも面白いゲームデザイン論の本だったりするのです。
今回は、そういった本のお話です。

先日のRGNでは、ソフトバンククリエイティブ様にも本のご提供をいただきました。
宅配便の遅配により受け取りが間に合わず、残念ながら会場でご紹介できなかった本を、この場を借りてご紹介しましょう。

シューティングゲームアルゴリズムマニアックス (C magazine)

シューティングゲームアルゴリズムマニアックス (C magazine)

シューティングゲーム プログラミング

シューティングゲーム プログラミング

↑プログラムの解説の本だが、同時にシューティングゲームのメイキング(←映画のDVDのメイキングのような意味で)にもなっている。
後者の雑誌連載時のタイトルは「ゲーム・ノ・シクミ」だったというのも納得。

プログラムのソースコードの説明は飛ばして読んでも十分に面白い。
ゲームデザイナーがどのようなビジョンを持ってゲームを設計しているのかよくわかる。

そのため、私のようなゲーム制作はしないが、ゲームを論じる人間が読んでも面白い。

歴史的なシューティングゲーム名も具体的も言及され、STG進化史の一端も垣間見える。

コンピュータゲームの中でどのような処理が行われているか、理解するのにとても役立つ。

ゲーム研究者にも一読を勧めたい。

付録CD-ROMでは、前者がデモプログラム、後者がサンプルシューティングゲーム「紫雨」を製作段階ごとのプロジェクトファイルを収録。


ゲームのアルゴリズム 思考ルーチンと物理シミュレーション

ゲームのアルゴリズム 思考ルーチンと物理シミュレーション

↑こちらは、いわゆるAIと呼ばれる、敵キャラ・NPCの思考ルーチンの本。
プログラムソースの分量は少ないので、この本もプログラミングに興味がないゲーム研究者・批評者が読んでも読み応えがあり、面白い。

囚人のジレンマ」といったゲーム理論の基本説明などもあるほか、シミュレーションゲームFPSなど、敵キャラがどのようなルーチンで動いているかわかる。

ゲームというメディアの理解が進む一冊。

あと、敵の動きが予想しやすくなるので、ゲーム攻略にも役立つかも?


MMORPGゲームサーバープログラミング (Game developer)

MMORPGゲームサーバープログラミング (Game developer)

↑著者はMMORPGの本場、韓国の人。サーバー管理だけでなく、MMORPGでどういった処理が行われているのかがわかる。
開発者以外でも、MMORPGを研究する人なら読んでおくとよい。

以上が、プログラムをやらないゲーム論者が読んでも面白いもの。
以下はやっぱり、プログラムをやる人向けかなー。


C#ゲームプログラミング (Game Developer)

C#ゲームプログラミング (Game Developer)

Windowsゲームプログラミング (Game developer)

Windowsゲームプログラミング (Game developer)

↑描画や、プレイヤーの入力に対する処理などを解説。
ゲーム開発を志す学生さんが読んで勉強する教科書。

↑物理・数学の教科書といった内容。付録CD-ROMにデモプログラムが入っているので、ゲーム開発者になった人が復習するのによさそうだ。




これまでは「プログラム」ってタイトルについているだけで、ほとんど中身を見てなかったけど、改めて見ると、プログラムがちんぷんかんぷんなゲーム論者が読んでもためになる、いい仕事している人がいたんだなー。

全ジャンルこういう本が出てくれると、日本独自のゲームデザイン論の土台も構築されていくのではないだろうか。

そういう本を作るのお手伝いもしたい!



もちろん、前田さん・佐々木さんの本もまだ買ってない人は必読!
こちらはゲーム論者じゃなくても、ゲームファンなら読んで面白い!!

(他の出版社の方のご紹介もお待ちしております)

「デッドゾーン」に学ぶ選択肢で分岐するストーリー

私が最近、面白いと思って見ている海外ドラマは、「LOST」と「デッド・ゾーン」です。
ダントツに面白いのは「LOST」なのですが、ゲームシナリオを作る側からすると、「デッドゾーン」がとても参考になると思うので、今回はこちらを紹介しましょう。

デッドゾーン」といっても、「キャリーどえぇ〜す」のことではありません。(←ディスクシステムを知らない人にはわからないネタ)

物や人に触っただけで過去・未来のことが見えてしまうという男のドラマ。
なぜゲームシナリオの参考になるかというと、「選択肢によって展開が変わるドラマ」だからです。(詳しくは後述)

スティーブン・キングの「THE DEAD ZONE」という1979年の小説を原作としたもので、映画にもなってます。

デッド・ゾーン〈上〉 (新潮文庫) デッド・ゾーン〈下〉 (新潮文庫) デッドゾーン デラックス版 [DVD]

テレビドラマ版は、原作・映画の設定を下敷きに、1話完結ドラマとしています。

どういうストーリーかというと、

※以下、あらすじはAXN|デッド・ゾーンより
http://axn.co.jp/deadzone/index.html

第1話「運命の紡ぎ車」 Wheel of Fortune

順風満帆な生活を送る高校教師のジョニー・スミスを、不運な事故が襲う。昏睡状態に陥ってから6年が経ち、奇跡的に意識を取り戻したジョニーには、触れただけで人の過去や未来が見えるという不思議な能力が備わっていた!その6年の間に母親は他界、婚約者のサラは別の男性と結婚し、息子が生まれていた。

なお、原作・映画版では、息子(実は父親は主人公ジョニー)は出てきません。


主人公のジョニーは、物や人に触っただけで、過去や未来を幻視します。
特に、未来のことが見えたとき、それはたいてい誰かが死ぬとか、悲劇です。

ジョニーはその悲劇を回避すべく、未来を変えようと奔走するのです。
これって、ゲームで「バッドエンドになったのでリセットして、選択肢を選びなおす」のというのと、まったく同じなのです。
実質的に、タイムスリップものと同じともいえるでしょう。

以下、選択肢的なストーリーが好きな人にオススメ、あるいはゲームシナリオ作成の参考になりそうなエピソードを紹介します。
1話完結式なので、基本的にどの話から見ても問題はないです。
DVDは、それぞれ13話・19話入って1万円以下という低価格。

デッド・ゾーン  シーズン1  コンプリートBOX [DVD]

デッド・ゾーン シーズン1 コンプリートBOX [DVD]

デッド・ゾーン シーズン2 コンプリートBOX [DVD]

デッド・ゾーン シーズン2 コンプリートBOX [DVD]


パラレルワールド
この手の話でオススメエピソードはこちら。

8 第8話「地獄の炎」 Netherworld

ある朝目覚めたジョニーは、運命を変えた事故など起っていず、サラと結婚し二児の父親となっている自分に驚く。その幸せな生活の中で、なぜか火傷を負った人々に出会うのだが、それが暗示する事とは…?

↑「もうひとつの人生」系の話ですね。

第9話「ジグソー・パズル」 The Siege

サラが立ち寄った銀行に強盗が押し入る。銀行の外でサラを待っていたジョニーは事件を透視。警察へ連絡する手配をした後、犯人も人質も全員死亡する悲劇を回避すべく、自らも人質に加わり犯人を説得しようとする。

↑このエピソードは、「街」というゲームにとてもよく似ています。
まさに選択肢を選びなおすことによって変わる因果のパズルを解いていく話。
誰かを助けようとすると、別の誰かが死んでしまう。はたして正解の選択肢はあるのでしょうか?
銀行強盗との心の交流もポイント。

第18話「6人のドナー」 Precipitate

交通事故に遭い、輸血を受けるジョニー。命に別状はなかったが、献血した6人の血液が原因で、28日間はジョニーに何らかの影響がある、と医者に告げられる。予告どおり、ジョニーは次々に6人のvisionを見始めるが、そのうち1人のvisionにジョニーとブルースが動き出す。

↑これも「街」に似ています。
6人のうち、誰かが死ぬことはわかったが、誰が死ぬかはわからない。
その死を止めようとするのですが、6人とも何か問題をかかえていたのでした。
パズルのピースがきれいに収まるラストは見事。
アメリカ版「電車男」みたいな奴が出てきます。

第21話「恐怖のフライト」 Cabin Pressure

講演会でスピーチをすることになっているジョニーは、パーディとワシントンDCへ向かう飛行機に乗った。だが、機内でクッキーを配る客室乗務員らに触れた時、飛行機が墜落するvisionを見る。ジョニーは機長にその事故が起こることを説明しようと必死に試みるが…。

↑これは何をしてもうまくいかない、無力系。密室劇ながら、派手なビジュアルが楽しめる話です。

第24話「神の真似事」 Playing God

ジョニーのもとに高校時代の友人ジェイソンと妻エリン、彼の妹ケイトが訪ねてくる。ジェイソンは重度の心臓病を患っていて、自分の将来を見て欲しいと手を差し出す。手に触れたジョニーはジェイソンの心臓移植手術が成功するvisionを見る。だが、その移植された心臓は…。

↑ジレンマものです。
Aさんを助けようとするとBさんは死んでしまう。Bさんを助けようとするとAさんは死んでしまう。

第28話「デジャ・ヴードゥー」 Deja Voodoo

ジョニーはブルースと食事にきたレストランのバーで、あるvisionを見る。席に座ろうとしたとき、保険の損害査定にきていたナタリーに偶然触れてしまったのだ。動揺するジョニー…。なんと、ナタリーとジョニーがキスをしているvisionだったのだ…。

↑これは、「何度も繰り返す世界」系ですね。


さらに、原作にないアイデアで、ドラマのジョニーは時を超える!(え!)

第12話「シャーマン」 Shaman

巨大な隕石が墜落するヴィジョンを見て山中に入ったジョニーは、洞窟内で過去の世界に繋がり、先住民のシャーマン(呪術師)と出会う。言葉が通じない中、やがて理解しあった二人は、ある危機が迫っていると知る。

第32話「ヴィジョンズ」 Visions

以前からジョニーの前に姿を現していた男が、また現れる。「アルマゲドン(世界の終わり)」について何か知っている様子のその男は、ジョニーに手遅れにならないうちにニューヨークのある家を訪ねるように言う。ジョニーはすぐその家に向かうが、住んでいたのは、なんとその謎の男本人だった…。

↑これも、パラレルワールド系のエピソードなのですが、原作にもある、宿敵スティルソン議員との対決が始まります。

スティルソン議員は、後に大統領になり、核戦争を引き起こし、世界を滅ぼしてしまう男なのです。

「もし1932年に戻れるなら、君はヒトラーを殺すか?」
これがこの作品のテーマ。

(以下、原作と映画版のネタバレ)
原作や映画のラストで、ジョニーはスティルソン暗殺を決意します。
講堂の二階に隠れ、演説中に狙撃しようとしますが、暗殺に失敗し、警備の人間にジョニーは射殺される、という結末です。
(スティルソンがどうなったかは、ぜひ映画か小説でご確認ください。私はこの結末が昔から好きです)
浦沢直樹『MONSTER』の図書館でのヨハン暗殺未遂シーンはこの映画の影響のような気がします。)

映画「スパイダーマン」なんかもちょっとそうですが、「超能力を持ってしまうと不幸になる」パターンなんですね。

しかし、ドラマ版ではどうやら同じ結末にはならないようです。

第25話「天国の教会」 Zion

ブルースの父親、ルイス牧師が亡くなった。地元の人々はブルースが教会に戻り、牧師になることを期待している。葬儀に参列していたジョニーは、棺に入った父親に触れているブルースの肩に手を置いた。その時、visionの連鎖が起こり、ブルースがvisionの中に入ってしまう!

↑この話で、ジョニーは原作同様、スティルソン狙撃に失敗して非業の最期を遂げます。
しかしそれは、ブルースが家業を継いで、理学療法士にならなかった世界、つまりパラレルワールドの中でした。

ジョニーのリハビリを担当した陽気な黒人ブルースは、ドラマ版オリジナルキャラクターです。
このエピソードは、ブルースの存在によって、ドラマ版は映画版・小説版と同じ歴史にはならないということを示唆しています。
つまり、小説版・映画版と、ドラマ版はパラレルワールドの関係にあると宣言しているのです。これは面白い!

さあ、ドラマ版の結末はどうなる?
アメリカでもまだ完結していないので、それはわかりません。





おまけ。

ついでに、その他のエピソードも紹介。
●いい話系

4 第4話「消えた女」 Enigma

サラの友人とデートしたジョニーだが、不穏な将来を予知し交際を断念。翌日、ジョニーはある老人に戦争中に別れた恋人を探してほしいと頼まれる。老人は、若い姿のままの彼女を見かけたと言うのだ…。

第22話「消える男」 The Man Who Never Was

厳重な警報装置で守られながら暮らしているジョニーは、スーパーの配達員ラウールの訪問でしばし和む。だが、注文したケイパー(香辛料)のビンに触れたとき、79歳の老人ジェフリーのvisionを見る…。その直後、ジョニーの体が徐々に消えていき、救急車を呼ぼうとするが…。

第23話「死者は語る」 Dead Men Tell Tales

ジョニーは自宅の水漏れの修理を頼んだ店で、あるvisionを見る。それは銃を持った男が、その店の経営者ドネガルを撃ち殺すというもの。ジョニーは彼に犯人の人相を教え、警戒するよう忠告するが、事態は思わぬ方向へ…。なぜなら、ドネガルは裏組織のボスだったのだ…。

●変り種エピソード

第5話「12番目の陪審員」 Unreasonable Doubt
ジョニーの元に裁判所から陪審員召喚状が届く。担当するのは小さな店で起きた強盗殺人事件。被告人の17歳の高校生が無罪だと考えるジョニーに対し、他の11人の陪審員は全員有罪を主張。果して裁判の行方は?

↑「12人の怒れる男」のパロディも。「名探偵モンク」にもありましたよねー。

第20話「謎を解く女たち」 Misbegotten

いかれた娘ペニーがジョニーの家に不法侵入するが、通報により保安官が駆けつける。後日、デーナと食事の約束があるジョニーは、車で街へ向かう途中、立木に車をぶつけ、呆然としているアニタという女性を発見。助けようと、車を降りるジョニーだが、それは仕組まれた罠だった…。


↑「ブレアウィッチ・プロジェクト」+サイコホラーという異色作。
熱狂的なファンがジョニーを拉致してドキュメンタリーを作ろうとするが、殺人鬼が……。

その他、いかにも911以降のアメリカらしい、ジョニーがアメリカ政府に協力してアルカイダをやっつけるという、ネタとしか思えない、黒歴史になること確実のエピソード 第29話「ハント」 The Hunt なんてのもあります。(笑)


LOST シーズン1 COMPLETE BOX [DVD]

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物語作者・ゲーム企画者必携、パクれるネタの宝庫 『スタートレック エンサイクロペディア』


さて、ゲームシナリオイベントまで1週間を切り、シナリオ関係に興味を持っている方がこのブログを見ている方も多いのではないでしょうか。
せっかくの機会なので、シナリオ関係の話題を何度か書いていきたいと思います。

今回は、シナリオの書くテクニックというより、ネタ出しに役立つ参考書をご紹介しましょう。
テレビゲームやアニメのシナリオ、小説、マンガを書こうと思っている人、世界設定・キャラクター設定・アイテム設定・イベントなどを考えなければいけない、ゲームの企画・プランナーの方にオススメです。

イデアの出し方の本については、前回(→id:AYS:20061203)紹介しましたのでそちらをどうぞ。


あまり知られていませんが、物語のアイデア出し、世界デザインのネタ帳として最強なのが、この本。
「スタートレック エンサイクロペディア 完全日本語版 」

スタートレックエンサイクロペディア ニュー・エディション (スタートレックBOOKスペシャル)

スタートレックエンサイクロペディア ニュー・エディション (スタートレックBOOKスペシャル)

「少年ジャンプ」よりでかく、フルカラー794ページなのに、1万円以下という驚きの低価格。
歴代スタートレックの全エピソード(数百本)の概要と、登場した人物、惑星、道具、スタトレ世界の歴史など、載っていないことはない。
マジで情報量すごすぎます。(翻訳だけでどれだけコストかかってるんだ?)

↓本のでかさはWiiリモコンと比べれば一目瞭然。(ってまだWii見たことない人多いか。隣の黒いのが何なのかは、この本を読めばわかります)

↑よくある設定資料集に見えるかもしれませんが、これが700ページ続くんですからね。


id:ityouさんのよく言う、「誰かが概要をまとめてくれれば、自分で全部見なくてもすむ」の典型です。
(ちなみに、旧版が安く売られていたりしますが、旧版はオールモノクロで項目数も少なく、図版もほとんどないので、残念ながら買う価値はありません)


といっても、『スタートレック』をよくご存じでない方も多いでしょう。
偏見を持っている方も少なくないのでは?
実は私もそうでした。

やっぱりあの、「赤青黄色のパジャマみたいな服の人たちが、チープな特殊メイクの異星人となんか戦ってる、アメリカのオタクが好きなやつ?」というイメージですよねえ。

私も昔はそう思ってました。
そういうのって、日本では『ゴレンジャー』みたいな戦隊ものとかしかないので、いい大人の見るものではないような気がしてしまうのでしょう。

でも、欧米の映画やドラマを見ていると、ギリシア神話、聖書、スタートレックが基礎教養だというのがよくわかります。
知識人でスタトレファンも多いですし、子供だましドラマだと思うのは大きな間違い。


実は、スタートレックは単なるSFドラマではなくて、SFであることをいいことに、(そして、毎週毎週のテレビドラマなのでネタ切れを防ぐため)ありとあらゆる物語パターンを取り入れたなんでもアリの世界なのです。(近いのは、ドラえもんか?)

いろいろな個性を持ったキャラクターが旅をして、行く先々の街(星)で事件が起こる、というのも、西遊記型、駅馬車型などと呼ばれる、物語の典型のひとつです。

お手持ちのマンガなどでも、そうした形式のものがけっこうあるのではないでしょうか?
コンピュータRPGロールプレイングゲーム)がすべて西遊記型なのは、言うまでもないですよね。

日本のドラマで1話完結のものは少ないですが、(例外は『古畑任三郎』『相棒』などのミステリーものか)海外ドラマは一話完結のものが多いので、それだけ起承転結の作り方の勉強がたくさんできます。
(続き物は続き物で、「もっと先が見たくなる」引っ張り方を学べますけど)

スタートレックは、現実世界にある問題(人間関係の問題から、社会問題までなんでも)を、SFという装置を用いることによって、浮き彫りにするのです。
しかも単なるSFメカのドラマではなくて、未開の惑星や超能力星人など、ファンタジー的な要素もある。

そんなわけで、スタートレックシリーズが、何十年にも渡って、何十人何百人ものクリエイターによって創り出してきた膨大な設定の数々が載っているこの本は、架空世界構築・エピソード構築のネタ帳として最強なのです。

カラー図版もひじょうに豊富で、登場人物、アイテム、コスチューム、宇宙船、紋章デザインなどなど、眺めているだけでインスピレーションを与えてくれます。

ネタに困ったら、パラパラめくって読むだけで、パクれるネタ満載。
しかも、スタトレのエピソード自体、たいてい何かのパクリなので、エッセンスだけパクってもまず問題になりません。




たとえば、適当にめくると次のような記述があるわけです。

Jetrel, Dr.Ma'Bor[James Sloyan] 【マボール・ジェトレル博士】(ジェームズ・スローヤン)
ハーコニア人とタラクシア人の戦争中、2356年に強力な破壊力を持った兵器、メトリオン爆弾を開発した科学者。
この兵器は惑星ライナックスで使用され、30万人が死亡し、タラクシアは降伏した。
この兵器の開発は大成功だと思われたが、後にジェトレルはハーコニア社会から村八分にされていることに気づいた。
また、妻カリーと3人の子供たちにも出て行かれてしまう。
彼は自分のせいでライナックスに住む大勢の人が死んでしまったことに深く傷つき、罪の意識に苛まれた。
長い年月、ジェトレルは自分のもたらした結果を改める方法を探し続け、とうとう死人を生き返らせる再生融合プロセスを考えつく。
しかし、政府は彼の研究に興味を示さなかったため、2371年、ヴォイジャーに乗り込むふりをし、船のテクノロジーを使って再生技術を実行しようとした。
試みは失敗に終わるが、その最中にタラクシア人のニーリックスは、ジェトレルが死に追いやった人たちに対して心から償いたいと思っていることを痛感する。
その後まもなく、ジェトレルはメトリオン爆弾に被爆していたためメトレミア(日本語版→メトリオン病)で死亡した(『殺人兵器メトリオン』[VGR])。

(p.222)

これは、『スタートレック ヴォイジャー』の1エピソード(45分程度)の内容です。このキャラは1回出てきて終わりのキャラでしかありません。
よほどのマニアでなければ、スタトレ好きでも覚えていないようなキャラです。


しかし、「過去に虐殺を行ったものが罪を悔いて、殺した人々を蘇らせようとする」という、この45分エピソード、RPGの骨格的な設定になりそうじゃないですか?

もちろん、これをそのまま全部パクったら、盗作者の十字架を背負って生きていかなければなりません。
でも、部分的にパクれる要素がいくつもあったのにお気づきでしょうか?

  • 「死人を生き返らせる再生融合プロセス」ってなんじゃそりゃー! という感じですが、RPGのラスボスがやろうとしていることとかにできそうですよね。「30年前の“大崩壊”で死んだ××国の人たちを生き返らせるために、○○国の人々の命をいけにえにする!」とか
  • 主人公の側の施設を奪って何かをやろうとしている敵。でも敵の真の目的は、主人公側の人々を救うことだった……なんていうのも、何かに使えそう。
  • ニーリックスは、ここではいわゆる「ヒロシマの生き残り」みたいなキャラなわけですが、RPGの主人公(あるいは主人公の仲間)キャラで、自分の肉親や友人を虐殺した敵の司令官や科学者を恨んでいて、そいつを追い掛け回すが、最後には赦す……なんて、『ファイナルファンタジー12』にありませんでしたっけ?
  • 自分の作り出した爆弾の副作用で死んでしまう科学者……この皮肉な結末も何かに使えそうです。

と、ほら、部分的に抜き出すだけで、いくつもストーリーが作れるのです。
こんな項目が、大小合わせて9000以上ですからね。ネタは尽きません。



全ゲーム企画者、物語作者必携でしょう。一生モノの一冊です。


ただ、スタートレック世界の基礎設定は、他で読んで知っておいたほうが読みやすいかもしれないですね。
この辺の本とか。

スタートレック パラマウント社公認 オフィシャルデータベース

スタートレック パラマウント社公認 オフィシャルデータベース

スタートレック全シリーズ完全ガイド (別冊宝島)

スタートレック全シリーズ完全ガイド (別冊宝島)


あと、スタートレックのストーリー(あらすじ)をパクるという話だと、ネット上によい日本語のエピソードガイドがあります。
『エンサイクロペディア』の方が、適当にめくることができるので、アイデア出しに向いているのですが、優良エピソードだけ知りたいなら、ネットの方が便利。
(でも、優良だけに有名なので、パクるとバレやすいです)

おすすめのコースはこちら。

まず、このページ
Star Trek: U.S.S. Kyushu - Episode Promenade
http://www2.g-7.ne.jp/~kyushu/epi/
の「各シリーズの情報へ」のところの、「平均点順 総合点順 」のリンクで、評価が高いエピソードを見る。

「エピソードの情報へ」をクリックして、
さらに左上にある「EPISODE GUIDE」のバナーを押すと、オチまで書いてあるあらすじが読める。

書き手が異様に力を入れていて、ほとんど全起こしになっているものもあり、力作なのはわかるけれども、そういうのは逆に「もっとまとめてくれよ」という気もするのですが。
TNGなら、こっちの方がまとまってていいかも。
Boldly Go... ST TNG エピソードガイド WWW edition
http://www2u.biglobe.ne.jp/~mayuzumi/startrek/tng_guide/epi.html


ヴォイジャーDS9TNGTOSの順に新しいです。
人気度はともかく、一般に新しい方がストーリーも洗練されている場合が多い。
(たとえばヴォイジャーにはTNGで荒削りだったシナリオをパクって洗練させた話とかが出てくる)

実はエンタープライズ(ENT)が最新作なのですが、初代スタートレック(TOS)より過去の話、という時代設定にしてしまったので、ホロデッキがないとか、技術的に後退してしまい、あまりSFなんでもあり話になっていないのです。
そんなわけもあって、ENTはスタトレ史上(初代を除いて)初めてつまらなくて7シーズンをまっとうできなく、シーズン4で打ち切られた作品なのでした。

興味が湧いたら、DVDなどで見てみるといいでしょう。
ただ、ハズレエピソードも多いので、面白いと上記サイトで評判の話から見始めることをオススメします。

ちなみに私のベストエピソードはヴォイジャーの『700年後の目撃者』。民族紛争と歴史観をテーマとした話です。
これはオチが素晴らしいので、映像で見ないともったいないだろうなあ。
文章で先に知っちゃうと、あの神演出を素直に味わう幸福を得られなくなってしまうでしょう。

スター・トレック ヴォイジャー DVDコンプリート・シーズン 1 コレクターズ・ボックス スター・トレック ディープ・スペース・ナイン DVDコンプリート・シーズン 1 コレクターズ・ボックス 新スター・トレック シーズン1 Vol.1 [DVD] 宇宙大作戦 DVDコンプリート・シーズン 1 <コレクターズ・ボックス> スター・トレック エンタープライズ DVDコンプリート・シーズン 1 コレクターズ・ボックス

12月10日 RGN#4「シナリオライターの眼から見たテレビゲームの特異性」


id:AYS:20061123で予告した、私の企画発案による、私(茂内克彦)が当日モデレータを務める、
コンピュータ・ゲームのデザインと物語についての研究会(RGN) 「ゲームシナリオライターの眼(仮)」ですが、

正式タイトル

12月10日 RGN#4「シナリオライターの眼から見たテレビゲームの特異性」

となりました。

公式サイトに掲載され、参加申し込み受付も始まっております。
http://www.glocom.ac.jp/project/rgn/
申し込み、よろしくお願いします!


なんと、川邊先生は、1時間半講演してくださるそうです!
最初、「30分程度お話しいただければ」とお願いしたのですが、「大学やCEDECの講義は90分だから、90分が一番話しやすい」ということで、奇跡の90分講演が実現。

CEDECだったらウン万円払わないと聞けない川邊先生の90分講演が1,000円の懇親会費で聞けるなんて!

もちろん、前田さんや佐々木さんの発表もあり、そちらもすごく楽しみです。

私も前説を兼ねた発表をするつもりだったのですが、これはもう、聞き手に徹したほうがいいと判断しました。

すでに、ゲーム業界で活躍する方々から続々と参加申し込みが来ているようで、懇親会も充実したものになりそうです。
当日来られる方は、名刺をたっぷり持ってきた方がよさそうです。



シナリオ論についての話や、会の内容についてなど、当ブログで紹介していきたいと思いますので、当日まで予習をしたい方はぜひチェックしてください。




RGN #04 「シナリオライターの眼から見たテレビゲームの特異性」

 ゲームの物語について論じるうえで、大きな問題となってくるのがゲームシナリオの存在である。
 最近、「ゲームシナリオ」に関する本が相次いで出版された。今回は、その中から『ゲームシナリオのドラマ作法』著者の川邊一外氏、『ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術』著者の前田圭士氏、『ゲームシナリオの書き方 基礎から学ぶキャラクター・構成・テキストの秘訣』著者の佐々木智広氏を発表者として迎える。
 それぞれゲームシナリオライターでもあるとともに、映画・ドラマの脚本家、ゲームデザイナー、演劇の脚本・演出家でもあり、そうした視点からテレビゲームに特有なシナリオ・演出・ゲームデザインなどについて論じる。
 ディスカッションでは、『ドラゴンクエスト』シリーズ、『ファイナルファンタジー』シリーズ、『逆転裁判』シリーズ、恋愛アドベンチャーゲームなどを例に、ゲームシナリオの本質について議論したい。


 なお、参加者どうしの交流を深めるため、立食パーティ形式のささやかな懇親会をもうけます。つきましては、ご入場の際に、懇親会費としてお一人様1,000円をいただくかたちになりますので、あらかじめご了承ください。

■登壇者(敬称略)
発表者:
川邊一外(脚本家。日本大学藝術学部映画学科講師、東京・福岡コミュニケーションアート専門学校講師、湯布院シナリオ塾専任講師)
前田圭士(ゲームデザイナー・ゲームシナリオライター。有限会社マーズ所属)
佐々木智広(脚本家・演出家。元バンタン電脳学院講師)

コメンテーター:
井上明人国際大学GLOCOM研究員。テレビゲーム研究)

企画・モデレーター:
茂内克彦(テレビゲーム研究家。ジャーナリスト・ライター)

■日程
2006年12月10日(日)
12:30 開場
13:00 開会のご挨拶・発表・ディスカッション
17:00 懇親会(立食パーティ形式)
19:00 閉会

※参加者多数の場合は、お立ち見となる場合があります。お席は入場順にご用意させていただきますので、お早めにお越しください。

■懇親会費(必須)
1,000円(当日受付にて集めます)

■場所

国際大学GLOCOM(東京・六本木)
http://www.glocom.ac.jp/j/access/

■お申し込み方法

メールのタイトルを、〔RGN#4 参加申し込み〕とし、
下記フォーマットに沿って必要事項をご記載の上
rgn@glocom.ac.jpまでメールをお送りください。

申し込み方法

○お名前
○(フリガナ)
○E-mail
○ご所属(社名・学校名)
○職種
※よろしければ、(商業作品に限らず)ゲーム開発者・作家などの方は担当(企画・シナリオ・プログラマーなど)と、手がけた作品名をお書きください。
○備考
※なお、いただいたメールアドレスに次回RGNや登壇者による今後の講演などのご案内をさせていただきます。メールを受け取られたくない方は備考欄にその旨ご記載ください。


川邊一外氏発表予定
「ゲームとは何か? ――その発想と構成」(90分)

 私には、映画の分野で『ドラマとは何か?』という著書があるのですが、今回は「ゲームとは何か?」という大上段に振りかぶった演題としました。ゲームの制作現場で多くの実績を重ねて来られたお歴々を前にして、何ともおこがましい次第なのですが、私としても「“ゲーム”っていったい何だろう?」というのは、ゲームについて既に2冊の著書を出しながら、実は長い間の疑問だったわけです。
 それが今年になって、特にアメリカと日本で、そのテーマに関するいくつかの本がでてきました。それらに触れさせていただいている間に、私としてもある考え方を固めるようになりました。それを今回はお話しさせていただきたい。
 したがって、まだどこにも書いたことがなく話したこともないことで、いわば手探りでお話しすることになる。はなはだ不遜ですが、お話しすることによって、自分の考えを確かめていこうというようなところがある。いうなれば「発生期」のアイディアをお伝えしてゆくわけで、途中で言葉に詰まるようなこともありえると思います。その点お許しを願っておきます。
 もうひとつ申し上げておきたいのは、私は「ゲームとは何か?」ということについて、いわゆる「学問」的な、アカデミックな論説をやるつもりはありません。あくまで中心にある課題は、副題にありますように、新しいゲームの発想と構成法、「頭の中をどのように動かしたら、面白く、ユニークなゲームを創り出すことが出来るか?」そのことにあります。
 そのような立場から、お話ししてゆきたいというのが、私の考えです。(談)


川邊一外(かわべ かずと)氏プロフィール
1931年東京生まれ。一橋大学社会学部卒。松竹大船撮影所助監督室に入り、助監督、脚本家として約60本の劇映画製作に携わる。1966年英国映画『007は2度死ぬ』日本側チーフ助監督。1981年より松竹シナリオ研究所専任講師、松竹シナリオ研究所所長などを歴任。現在、日本大学芸術学部映画科講師、東京・福岡コミュニケーションアート専門学校講師、湯布院シナリオ塾専任講師。「月刊シナリオ」にも連載をもつ。
RPG『玉繭物語』の原作をはじめ、多くのゲームシナリオも手がける。CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)での講演では毎回満員御礼となっている。2007年度には立命館大学でゲーム関係講座を担当予定。
著書に『ドラマとは何か?―ストーリー工学入門』、『シナリオ創作演習十二講』、『ゲームシナリオ作法』(日韓同時出版)、『ゲームシナリオのドラマ作法』などがある。

前田圭士氏発表予定
コンピューターRPGにおけるプレイヤーとプレイヤーキャラの関係について」(30分)

 コンピュータゲームにおいてプレイヤーとプレイヤーキャラは別物であるところからゲームは始まる。それを一致させる手法として「共感しやすいキャラクターが」「共感しやすいセリフを話し」「共感しやすい行動を取って」「物語を進める」ことが有効である。
 さらに、ゲームでは戦闘などのシステムを使って、両者を近づけることが可能である。
その事例がゲームにおいてはキャラクターの成長する様子が常にシナリオ、劇中のみで描かれるわけではない、という例である。
 システムでもシナリオでも、我々制作者が、「このキャラクターはあなたなんです」とおせっかいなほど確認させ続けるのは、この両者の一致を目的とするためである。
 ……な〜んて「研究発表」という場なので、こんな偉そうっぽいことを話すつもりではいますが、シナリオ書きなんて商売でやってるので、お客さんが喜んでくださってお金がもらえるならなんだっていいんじゃないですかねぇ。ねぇ、皆さん?


前田圭士(まえだ けいじ)氏プロフィール
1972年滋賀県生まれ。ゲームデザイナー、シナリオライター。学生時代よりシナリオライターとして株式会社ゲームアーツへ。その後、シナリオ工房月光を経て、現在はゲームデザイナー桝田省治氏が代表取締役をつとめる有限会社マーズに所属。
マーズに所属中の2002年には、漫画原作者小池一夫氏の主催する小池一夫塾のゲーム作家コースで、ゲーム作家さくまあきら氏に師事。制作に関わったゲームに『グランディア』、『ルナ2 エターナルブルー』、『我が竜を見よ』などがある。現在は来年発売予定のDS用タイトルのシナリオを鋭意制作中。
著書に『ゲームシナリオライターの仕事 名作RPGに学ぶシナリオ創作術』がある。


佐々木智広氏発表予定
「演劇的なるものとゲーム的なるもの」(発表時間未定)

詳しい内容は当日のお楽しみです!


佐々木智広(ささき ともひろ)氏プロフィール
1972年京都生まれ。立命館大学国際関係学部卒業。ゲーム制作会社(株)トーセに入社、企画営業・シナリオを担当。200万本以上のヒットとなった携帯ゲーム機用RPGの脚本をほぼ一人で書きあげる。同社退社後、(有)キュートロンに参加するなど、フリーのゲームシナリオライターとして活躍。『メモリーズオフ』『メモリーズオフ2』のシナリオに参加するなど、多数のゲームの企画・シナリオに関わる。2000年にはバンタン電脳学院で講師として『キャラクター概論』を担当。
またゲームシナリオ業のかたわら、劇団★新感線の中谷さとみ氏、タイソン大屋氏と劇団「Afro13」を立ち上げ、国内での公演のほか、言葉に頼らない物語作りを目指し2002年『MAYA-K』台湾公演、2004年イギリスのエジンバラ演劇祭に出場、絶賛を浴びる。2003年『a-nation』でのミュージカルライブ、2006年室井滋出演『常願寺川賛歌』で脚本・演出するほか、ビジュアル系バンド、コスプレアイドル、ダンスパフォーマンスユニット、講談等、ジャンルの垣根を越えて活動の場を広げる。2007年には、1月にHip Hopと芝居の融合を目指すavex artist academy『a-live』(新宿文化センター)、3月には30-delux『BLUE』(新宿シアターサンモール、大阪一心寺シアター)、6月には台湾・日本合同企画『Vampire(仮)』(台湾)で脚本・演出を担当するなど、多忙な日々を送る。宇宙でライブを行うことが最終目標。
著書に、『ゲームシナリオの書き方 基礎から学ぶキャラクター・構成・テキストの秘訣』がある。



■企画・モデレーター
茂内克彦(しげうち かつひこ)プロフィール
テレビゲーム研究家・ライター。
1975年札幌生まれ。静岡大学大学院情報学研究科修士課程修了。テレビゲーム史・ゲームデザイン・ゲームの物語などについて研究するかたわら、メディア関係のジャーナリスト・ライターとしても活動。毎日新聞社ソフトバンククリエイティブなどの媒体で記事を多く執筆する。
公式サイトintara.net

(発表の順番は未定です。また内容などは変更になることがあります。ご了承ください)


ゲームシナリオのドラマ作法

ゲームシナリオのドラマ作法

桝田省治氏、重馬敬氏、さくまあきら氏、芝村裕吏氏のインタビューも収録。詳しい目次→http://www.sbcr.jp/books/products/detail.asp?sku=4797335963


その他、お三方の本の中でオススメされていたりする、シナリオに興味がある人なら必読の本などを再掲。

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

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ストーリーアナリスト―ハリウッドのストーリー分析と評価手法(夢を語る技術シリーズNo1)

ストーリーアナリスト―ハリウッドのストーリー分析と評価手法(夢を語る技術シリーズNo1)

  • 作者: ティ・エルカタン,フイルムアンドメディア研究所,T.L. Katahn,渡辺秀治
  • 出版社/メーカー: フィルムアンドメディア研究所
  • 発売日: 1999/05/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 12人 クリック: 234回
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ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)

ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)

  • 作者: リンダシガー,Linda Seger,フィルムメディア研究所,田中裕之
  • 出版社/メーカー: フィルムアンドメディア研究所
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 単行本
  • 購入: 11人 クリック: 274回
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シナリオの基礎技術

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シナリオ創作演習十二講 (シナリオ創作研究叢書)

シナリオ創作演習十二講 (シナリオ創作研究叢書)

ドラマとは何か?―ストーリー工学入門 (映人社シナリオ創作研究叢書)

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キャラクター小説の作り方 (角川文庫)

キャラクター小説の作り方 (角川文庫)

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

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ゲームシナリオ作法

ゲームシナリオ作法

物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室

物語の作り方―ガルシア=マルケスのシナリオ教室

ノベルゲームのシナリオ作成技法

ノベルゲームのシナリオ作成技法

12月10日RGN#4「ゲームシナリオライターの眼(仮)」川邊一外氏・前田圭士氏・佐々木智広氏

※追記:正式リリース出ました。こちらをご覧ください。→id:AYS:20061203


東京六本木の国際大学GLOCOMを会場に開いているシンポジウム形式の研究会「RGN : コンピュータ・ゲームのデザインと物語についての研究会」ですが、
次回12月10日(日)の開催が決定しました。

(公式サイト等での告知はまだですが、とりあえずもう日がないので概要だけでもここでお知らせします。
 ご参加の際は、公式サイトでの予約が必要になる見込みです)
http://www.glocom.ac.jp/project/rgn/



今回は、テーマに「ゲームシナリオ」を取り上げます。
顔ぶれがスゴイ!
川邊一外さん、前田圭士さん、佐々木智広さんのお三方をお迎えします。
(お三方には、ご快諾いただき、本当にありがとうございます)



細かい開始時間は未定ですが、午後1時開始になると思います。
詳しいことは順次、またお知らせします。

とにかくみなさん、予定を空けておいてください。



このお三方は、過去1年間に相次いで出版されたゲームシナリオ作成指南本の著者の方々です。

ゲームシナリオのドラマ作法

ゲームシナリオのドラマ作法

桝田省治氏、重馬敬氏、さくまあきら氏、芝村裕吏氏のインタビューも収録。詳しい目次→http://www.sbcr.jp/books/products/detail.asp?sku=4797335963


詳しいプロフィールは追ってお知らせしますが、いずれもすごい経歴の方々です。

川邊さんは、映画やドラマの脚本を数多く手がけてこられ、映画・ドラマのシナリオ作法に関する著書も多数ある、重鎮中の重鎮。(CEDECでの講座は毎回満員御礼。http://cedec.cesa.or.jp/_session/r16.html


前田さんは、「グランディア」「ルナ エターナルブルー」「我が竜を見よ」などの名作RPGの数々を手がけられた、ゲームシナリオライターかつゲームデザイナー。(重馬敬さんのブログでの言及→http://d.hatena.ne.jp/SHIGEMA/20060720


佐々木さんは、劇団☆新感線の中谷さとみさんらとアフロ13を結成され、それ以外でも現在演劇界で大活躍されていらっしゃいます。
過去にゲーム開発会社に入社して、ほとんど一人でシナリオを手がけたRPGは、二百数十万本売れたという実績の持ち主。(タイトルは守秘義務なので明かせないと本人はおっしゃっていたので書けませんが、Wikipediaを見ると……。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E6%99%BA%E5%BA%83


来ていただいた方、どなたにもわかる内容にするつもりではありますが、「お三方の本をなるべく読んできてください」というのが講演者側からの希望です。
今のうちに入手して、当日までに読んでおいていただけると幸い。



これまでのRGNは、井上明人さんが中心となって企画されてきましたが、今回は私、茂内克彦による企画で、当日もモデレーターを務めさせていただきます。
好評の場合、第2弾なども考えたいと思いますので、ぜひ多くの方のご来場をお願いします。


第3回までは、ゲーム研究・ゲーム評論に興味がある方・現役ゲームクリエイターの方が多くいらしてくださったのですが、そうした方はもちろん、クリエイターを目指している方、ゲームシナリオに興味がある方にもぜひきていただきたいです。
お知り合いで、興味を持ちそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介ください。


会の終了後、その場で立食パーティ形式のささやかな懇親会を催したいと思っています。
自由にご歓談いただき、普段話すことのあまりない方々と交流していただければという意図です。(ここでの出会いが、研究でもビジネスでも遊びでもいいですが、新しい何かに繋がるとうれしいのです)



ちなみに、他にも涼元悠一さんがノベルゲームのシナリオ作成指南本を出されました。

ノベルゲームのシナリオ作成技法

ノベルゲームのシナリオ作成技法

「ノベルゲームだけ差別して呼ばなかった」と誤解されるといけないので、書いておきますが、涼元悠一さんにもお願いはしたのです。しかし、ご都合がつかないようで、今回はお呼びすることができませんでした。別の機会に実現したいものです。


その他、お三方の本の中でオススメされている本など↓
(もう定番ですね。ほとんどが、シナリオと名のつくものを書く人で、知らない人はいないという感じの本です)

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

ストーリーアナリスト―ハリウッドのストーリー分析と評価手法(夢を語る技術シリーズNo1)

ストーリーアナリスト―ハリウッドのストーリー分析と評価手法(夢を語る技術シリーズNo1)

  • 作者: ティ・エルカタン,フイルムアンドメディア研究所,T.L. Katahn,渡辺秀治
  • 出版社/メーカー: フィルムアンドメディア研究所
  • 発売日: 1999/05/01
  • メディア: 単行本
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ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)

ハリウッド・リライティング・バイブル (夢を語る技術シリーズ)

  • 作者: リンダシガー,Linda Seger,フィルムメディア研究所,田中裕之
  • 出版社/メーカー: フィルムアンドメディア研究所
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 単行本
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シナリオの基礎技術

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シナリオ創作演習十二講 (シナリオ創作研究叢書)

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ドラマとは何か?―ストーリー工学入門 (映人社シナリオ創作研究叢書)

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キャラクター小説の作り方 (角川文庫)

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アイデアのつくり方

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考具 ―考えるための道具、持っていますか?

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ゲームシナリオ作法

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